登下校も家でも学校でも、ずーっと美樹っちと一緒に過ごす青峰っちに対するもやもやが生まれた。美樹っちの心の一番側にいるんだろうなあ、って思うと邪魔がしたくなる。割り込みたくなる。嫌なやつだなあ、俺。
美樹っちにとって青峰っちは兄だし、こんなところで嫉妬するなんて、俺おかしい。
ところでなんで嫉妬したんだ?
「きーくんってさ、美樹ちゃんのこと好きじゃない?いっつも見てるよ」
隣で桃っちが言った。へえ、そんなに俺って美樹っちのこと見てるのか。そんな事を思いながら視線を桃っちにうつす。
「俺が美樹っちを好き?青峰っちに殺されるっス」
「でも、好きでしょ」
そんな風に考えた事がなかった。ぐるぐる思考を回転させる。彼女の笑顔とか、クッキーの味とか、そんなのがいっぱい脳内に溢れてる。メールの内容も全部覚えてるし。本当に俺、美樹っちの事好きなのかな。いや、好きだ。好きだけど、特別な意味での好きって、どんなんだっけ?
「好きって、どんな感じっスか?」
「え、ええ!?いきなりそんなこと…、でも胸が熱くて鼓動が速まって、その人と関わることが嬉しくて嬉しくてたまらなくって、そんな感じ」
顔を赤くする桃っち。
鼓動が早くなるかどうかは自覚ないし、熱くなるのも自覚ないけど、美樹っちと関わってとても充実した日々がおくれているのは確かだ。
「それからさ、その人と一緒にいる異性にちょっとだけ嫉妬する」
「……そうっスか」
俺は今まさに青峰っちに嫉妬してた。
俺たちの話しているところに美樹っちがきて、「ねえ黄瀬くん」と言った。
「何っスか?」
「さつきちゃんとお兄ちゃんと黒子くんと私と黄瀬くんで来週の調理実習の班組もうよ!私黄瀬くんと一緒がいいんだけど、ダメかな?」
さっきも女の子に誘われたけど断った調理実習。もともと美樹っちを誘う予定だった。それが美樹っちから誘ってもらえるとは思ってもみなかった。嬉しくて泣きそうだ。
「俺こそよろしく頼むっス、ありがとう!」
それを聞いて笑顔になる美樹っち。可愛い。

あれ、なんだか胸のあたりが熱い。鼓動も急加速していく。病気かな。
格好悪い表情
(彼女の兄に嫉妬した俺は格好悪いなあ)
20120821
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