「先ほどは失礼した」
緑の人はわたしに頭をさげた。いえいえこちらこそ勘違いしてしまって申し訳ありません、というと彼はいや、俺が悪いと目を合わせた。黄瀬くんも綺麗な人だけど、この人も睫毛が長くて綺麗だと思った。
もうすぐ始業式がはじまる。寂しいクラスになったけれどここでもいい友達が出来るといいなと思いをめぐらせていると携帯電話が鞄の中で揺れた。電源を切り始めた、と鞄をあさって表示される名前を見て驚いた。
―――黄瀬くん
メールの内容は「放課後待ってて」という簡単なものであった。「待ってる」と簡単な文章をうって、送信した。
放課後になると黄瀬くんはすぐに来てくれた。まだクラスメートがちょっと残っていてみんなわたしと黄瀬くんが喋っているのを見てこそこそ話している。
「あのさ、俺、部活はいろうと思って」
廊下を歩きながら恥ずかしそうに黄瀬くんはいった。いいと思う、応援するよ。そう言うと少し寂しそうな顔で「でも会う時間減っちゃう」という。大丈夫、って笑うと俺が大丈夫じゃないんスよ!と涙目の黄瀬くん。じゃあ放課後黄瀬くんのこと待っちゃう、なんていうとマジっスかって喜んだ。
「それで何部がいいかなあと思って、今日はちょっと見学がしたくて…でも美樹っちって体育館とか入らないほうがいいんスかね?」
「大丈夫、体育の時間は体育できないのに見学っていうのもあれだから先生の配慮で行ってないだけ。気管支炎も時期によるから今はへっちゃら」
「じゃあちょっとだけ付き合ってもらってもいいっスかね?」
「うん!」
こうやって並んで歩くことは付き合ってけっこう長いのに少ない。だからデートみたいでとっても楽しい。
「何部見に行くの?」
「片っ端からっスかねー、野球部は入れないっスけど。あと水泳部も無理かなー」
「大変なんだね、モデルのお仕事って」
「楽しいからいいんスよ。じゃあ手始めに青峰っちのいる体育館でも行ってみるっスか?」
そうだね、にこにこしながら向かった体育館で黄瀬くんの運命が180度、変わった。

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20130608
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