お正月はお母さんの実家で過ごして、冬休み明けは冬休み前と同じ生活。たまに黄瀬くんが来て和気藹々と話す。バレンタインの手作りチョコレートは本当に喜んでくれたし、ホワイトデーは黄瀬くんに高そうなお菓子とくまの小さなマスコットをもらったのだけれど、クリスマスの日の約束、私からキスをする、というのは未だに果たせずにいる。毎日頭をフル回転してどうしようどうしたらいいんだろうと考えているけれど答えは出ず、しかもこんなこと相談なんて出来ないと唸る毎日。お兄ちゃんに「この頃なんか、まあ、大丈夫か?」ときかれる。うん大丈夫元気と応えるしかない。そんなこんなをしているうちに新学期、四月である。お医者さんから行ってもいいという許可がでたので約半年ぶりに学校にお兄ちゃんと並んで行った。
クラス替え表の前は人だかりでよく見えない、と思っているとお兄ちゃんが「あ、あった」と呟いた。残念ながら黄瀬くんとクラスが離れてしまった。しかも黒子くんもさつきちゃんも。でもお兄ちゃんと同じクラスだから、永遠の別れじゃないわけだし、と自分に言い聞かせていると盛大なため息が重なって聞こえた。
溜息の主は黄瀬くんと、それから緑色の長身の眼鏡をかけた人。
「青峰と同じクラスなんて最悪なのだよ」
げっそりした緑色。わたし、この人知らないのになんで最悪とか言われているのだろうか。
「あ、あの、ごめんなさい」
頭を一度下げてもう一度彼を見ると驚いた表情。
「え、なんで謝っている?」
「え、だって今最悪って、」
「それは青峰に対していった言葉で、」
「わたし、青峰美樹です」
「は?」
彼はわたしをみて、私の後ろにいるお兄ちゃんに視線をうつした。あ、もしかして青峰ってお兄ちゃんのことだろうか。
「悪いな緑間、こいつ俺の妹。美樹」
「妹がいたのか?」
「おう」
「美樹っち、クラスはなれるなんて残念っス」
お兄ちゃんと緑色の人がお話していると黄瀬くんがわたしに残念そうにいった。
「うん、でも一生の別れじゃないんだもん、昼休みはお話ししよう?」
うん、うん、と涙を拭うふりをしている黄瀬くん。
お兄ちゃんと緑の人を放って二人で教室まで行った。

これが夢ならいいのに
20130521
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -