ひまわりが咲いたときは写メという機能を始めて使って黄瀬くんにメールを送った。黄瀬くんもどうやらひまわりが好きなようで夏休みは何度か二人で、庭のひまわりを見てお話した。
でも二学期になると案の定、黄瀬くんが学校に来ることが少なくなった。それにわたしも体調を崩して携帯電話を没収されてしまった。しかも入院にまでなってしまった。高校生になったら留年確定かなあとこの頃買った本を読んでいると病室にさつきちゃんが訪れた。さつきちゃんはマネージャーだから一週間に3回くらい顔を出してくれる。黄瀬くんは忙しいらしくこの頃全然会っていない。ため息が止まらない。
「美樹ちゃん会いたかったー!」
「一昨日も来たよ…?」
「毎日会いたいの!」
「ありがとう。わたしも毎日会いたいよ」
えへへ、と笑うとパイプ椅子にぎしりと座った。
「この頃黄瀬くんやっぱり忙しいみたいでもう一週間以上学校来てないの…」
「映画の撮影って結構かかるんだね」
「でもこの映画結構ロケ地とか固まってるみたいだしもともと短めだから早く終わるらしいよ」
そのころにはわたしも退院できているだろうか、と考えているとさつきちゃんが前みたいに困った表情で笑った。
「それでね、きーくんが撮影見に来ないかだって。ここから一時間くらい行った海で今はやってるみたいで…でも美樹ちゃん入院中だしダイちゃんは反対らしいよ。聞いてなかったでしょ」
「う、うん。行っても迷惑にならないかな…」
「大丈夫大丈夫!結構相手役の女の人が誘ってるみたいだからさ!」
「へえ、行きたいなあ」
「入院いつまでなの?」
「未定なの、だけど今週末の土曜日から外出許可はおりるらしいけど…」
「じゃあ日曜日行こう!その日練習試合でダイちゃんに見つからないようにこっそり、ね!」
ずいっと迫られて首を縦に振るしかなかった。
お兄ちゃん、ごめんなさい。

届かない電波
20121215
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