さつきちゃんと黒子くんと黄瀬くんが来てケーキを褒められた。とっても美味しいって言ってもらえて嬉しかった。話はどんどん盛り上がって映画のことになった時わたしの心臓がびくりとはねた。なんだかとても怖いような変な感覚。
「恋愛ものの映画ってどんなのなの?」
恐る恐る聞いてみると、純愛ものだと教えてくれた。
ちゅーとか、するのかな。
「美樹ちゃん」
さつきちゃんがわたしにしか聞こえない声で「気になってる?」と囁いた。小さく頷くと困ったように笑うさつきちゃん。
ちょっと二人で話がある、とリビングから自室に行くと、さつきちゃんがわたしの隣に腰を下ろして小さな声で話し始めた。
「美樹ちゃん、きーくんのこと好き?」
唐突過ぎて顔が熱くなった。
さつきちゃんは困った表情で笑ったまま「やっぱり」と言った。どうしてそんなことさつきちゃんが知っているのかは解らないが、知られたことに恥ずかしさを感じた。
「嫌なら嫌って言わないと」
「でも、お仕事はお仕事だよ」
「でも嫌でしょ、女の子といちゃつかれるの見るのって」
「でも黄瀬くんは黄瀬くんのお仕事としてやるんだもん…わたしは口出しできないし、やりがいを感じてるんだったら止める権利なんてないんだよ?」
「でも、嫌でしょ」
でもが止まらない会話。
言葉に詰まったわたしをさつきちゃんはゆっくり抱きしめた。
「美樹ちゃんは大人だね。ごめんね、不安にさせるようなこと言って…」
「ううん、そんなこと…」
正直、複雑な気持ちだ。嫌って思っていても嫌とは言えないし、モデルも演技も、いろんな黄瀬くんを見てみたい。
「戻ろうか、きーくんが撮影始まったらあんまり会えなくなるしね」
「う、うん」
もやもやが消えないまま部屋を出てリビングに戻った。黄瀬くんは今日もかっこいい。笑いながら「何話してたんスか?気になるっス!」という言葉にさつきちゃんが「女の子の秘密ー!」と明るく返していた。わたしもやんわり笑った。胸の中は笑顔と逆にもやもやしていたけど。

二人の間に壁ができるとするならば
20121215
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -