妹の様子が可笑しい。
いつもなら綺麗にクッキーを焼くのに今日は焦がした。好きなドラマを見逃した。洗濯を忘れた。朝起きるのが妙に遅い。
あの日夏祭りから帰ってきて少し熱を出したがすぐに治った。それから可笑しな行動を始めた。いつもなら失敗しない事をことごとく失敗するのだ。熱はないし、すごく心配になる。
「美樹、なんかあったのか?」
「え?なにが、お兄ちゃん」
ご飯をフォークで食べながら(ていうかここまでくるとわざとやってるのかとすら思える)彼女は首を傾げた。
「それ」
「あ……」
フォークをわきに置いて箸を持つ。
「なあ、本当に大丈夫か?」
「うん、普通だよ」
そう返事をすると黙々とご飯を再び食べ始めた。はあ、と溜息をつく。部活に行くのがすごく憂鬱になる。彼女一人で置いて行ってもいいのかって。
時計に目をやればもうすぐさつきが来る時間だ。
美樹はいたって普通なのだが、ぼうっとしている事がこの頃多い。
そのとき、ぶーっとバイブの音が聞こえた。美樹の携帯らしい。はっとして彼女は携帯のディスプレイを見て部屋に駆け込んでいく。
「ごめんお兄ちゃん、ちょっとメール」
「あとで返せばいいだろ」
「急ぎなのっ」
扉が閉められリビングには俺一人。そのうちインターホンがなって「あーおみーねくんっ!部活ー!」というさつきの声が聞こえた。
若干不安を残して出かける事になるがとりあえずスポーツバックを肩に書け、彼女の作った弁当を持つ。部屋をノックして「部活行ってくる」と言うと「いってらっしゃーい」と楽しそうな声が聞こえた。
家を出てさつきに「この頃美樹が可笑しい」と言うと「そういうお年頃なのよ」と苦笑してきたからとりあえず背中叩いといた。ばしっ。

すれ違わない心
20121104
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