最後にたくさんの大きな花火が連続して打ち上げられ、花火が終わった後は呆気なく、煙だけが空を漂った。
満足した様子の美樹っち。物足りないという表情の青峰っち。黒子っちに夢中な桃っちと、もくもくと綿菓子を食べる黒子っち、そして俺。
さてそろそろ帰るっスか、と腰を浮かせると、彼女の手を握っていた事に気づきぱっと離す。彼女も手を握っていた事を忘れていたらしく少し頬を赤くして手を引っ込めた。青峰っちに見られていないよなあ、と思いながらそろりと顔を向けると、青峰っちは外を見ていたから多分、大丈夫だろう。
食べ散らかしたゴミを一つのナイロンにまとめて外に出ると、微かに火薬のにおいが鼻を刺した。ああいけない、と思って早足でエレベーターに向かう。降りる途中に彼女に大丈夫かと訊くと、大丈夫、と笑ったから安心した。
それから街をあるいながら駅に向かう。少し華やいだ浴衣を着た人々の中から「モデルの黄瀬くん?」なんて聞こえたときにはちょっと焦ったけど誰にも話しかけられなかったから大丈夫だろう。
ふと近くの店をのぞくと可愛い雑貨が並んでいた。
「美樹っち、ちょっと見ていかないっスか?」
彼女は少し不思議そうにお店をのぞいて、すぐに目を輝かせた。今日は彼女の嬉しそうな姿がたくさん見られて幸せだなあと思いながらリボンとか、シュシュとか、ペンダントとかを見つめる。
桃っちと黒子っちと青峰っちも雑貨屋さんに入ってきていろいろと話していた。だいたいは青峰っちが「この雑誌の女の…」で始まり桃っちが「青峰くん最低!!」と怒って黒子っちが苦笑いをしていた、ように見えた。
美樹っちがじっと見つめるもののなかに、彼女のお目にかなったのか、すごく長い時間見つめられているものがあった。美樹っちの髪の色のシュシュ。
「それ、美樹っちに似合いそうっスよね!」
「え、で、でもわたしこんな派手なの似合わないよ…」
「絶対似合うっスから!」
「うーん、でもわたしなんかに似合うのかな…」
「美樹っちは可愛いっスから」
へへっと笑うと彼女は顔を真っ赤にした。ほら可愛い。

ゆらり、揺れて、揺られて
20121027
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