美樹っちは煙とかで体調が悪くなると青峰っちに聞いていた。でも花火は近くから見たいし、と思って選んだのはマンションの屋上。そこのマンションは俺の事務所のお偉いさんが持っているもので、頼んだら、何かの映画の役を引き受ける事と引きかえで、OKしてくれた。マンションの屋上の一角には綺麗に空が見えるガラスばりの空間が用意されていて、そこなら煙は入ってこないし、冷房も完備されているため涼しく見れる。それにそのお偉いさんは出張中で貸しきり状態だ。
エレベーターに入ると美樹っちは若干緊張しているみたいだった。桃っちは相変わらず黒子っちにべたべたしている。青峰っちはぼうっと欠伸をしていた。
「き、黄瀬くん。こんなところ大丈夫なの?」
おどおどとした彼女の声に、桃っちも黒子っちも「ああ確かに」という表情で俺を見上げた。
「大丈夫っスよ。ここの管理人の人には前もって許可とってあるっス」
「でもお金とかかかっちゃったんじゃない…?」
「いやあ、ここの人うちの事務所のお偉いさんで、頼んだら快く貸してくれたんスよー!」
にこにここたえると、彼女は「いろいろしてくれてありがとう」と頬を赤らめた。
その言葉だけで俺は満足っス、と心のうちで呟く。
エレベーターが上がりきるとやっぱり綺麗に花火の方向が見えた。彼女はすごいすごいと子供みたいにはしゃぐ。こういうの、初めてなんだっけ。
「こっち入って観たら煙とかも大丈夫っスよ、椅子もあるし」
「可愛い!こんなの映画でしか見たことない…!黄瀬くんありがとう!」
屋上の芝生の上を駆ける彼女をこけないか心配する。
「黄瀬、気ぃつかわして悪ぃな」
青峰っちがぽつりと呟いた。え、もう一回、と言うと殴られた。

ほらまた気を緩めた
(あと何分?)(20分ぐらいあるっスね)
20121009
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