花火を見るところに行く前に屋台で食べ物を買う事になったが、私と黄瀬くんは公園で留守番係りになってしまった。多分黄瀬くんが人ごみに行くと騒がれてしまうし、私の身体を心配してお兄ちゃんが言ったのだと思う。
「そういえば美樹っち、趣味とか得意な事ってあるんスか?」
黄瀬くんはそう言って首を傾ける。
そういえば趣味とか得意な事、自分から離したことなかったなあと思いながらうーん、と首を捻る。つまらない事言っても反応に困るだろうし、メールはうつの遅いし趣味と言うほどやらない。勉強もそんなにできるわけではないし運動はもっての外、まず運動しようとしたら兄に怒られる。水泳はちょっとやったけれど小学校低学年から中学年でやめちゃったし。
「毎年、夏はひまわり育ててるけど、趣味とはちょっと違うし、習い事とかもあんまりやったことないし、お菓子作りも気が向いてやるだけだし、うーん…」
気付いたら口に出していて、いけない、と手で覆う。黄瀬くんはくすくす笑った。
「ひまわり好きなんスか?俺も大好きっスよ、真っ直ぐで黄色がすっげー綺麗で」
「本当!?私ね、いろんな花が好きだけど、一番はひまわりなの」
あの真っ直ぐなところに元気がもらえるから、と笑う。
「今日の帯もひまわりの色っスよね、綺麗っス。あこがれ、私の目はあなただけを見つめる、崇拝、光輝、愛慕、とか花言葉もいいっスよね、まあマイナスなのはマイナスなんスけど、俺は夏の暑さでも元気なひまわり大好きっスよ」
ひまわりみたいな髪をさらりと揺らす。
空を見ると暗くなり始めていて、そろそろ移動しようと黄瀬くんがみんなに言った。

海みたいな空
20121007
「あこがれ」 「私の目はあなただけを見つめる」「崇拝」「熱愛」「光輝」「愛慕」「いつわりの富」「にせ金貨」
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