「熱あるだろ」
「え、な、ないよ」
「嘘だ、顔真っ赤だし。それに眠そう。ほら、部屋に戻った戻った」
黄瀬たちと遊びに行く二日前。いつものように朝早く起きると彼女がぼおっとソファに座っていた。夏休みに入ったから俺は部活だけで、彼女はたまについてくるけど普段は家の中で。
ソファに座った彼女の声は涙声で目は潤み、一瞬で熱があるとわかった。頬も赤い。ワンピースからのぞく少しの背中にぺたっと手をあてると少しだけだったが熱かった。悪化させて行けないよりいいだろ、と部屋に押し込む。冷蔵庫で冷えているゼリーを取り出してスプーンとともに彼女の部屋に持っていく。大人しくベッドで寝ようとしている彼女の机に置いて「このくらいは食べろよ」と笑うと複雑な顔の彼女。
「治るかなあ、」
「このくらいならすぐ治るから、ちゃんとゼリー食べて今日は寝てろよ。携帯電話もいじらないほうがいい。ディスプレイとか、けっこう頭に悪いから。集中?まあその辺わからないけど今日は寝とけ」
「うん、」
「じゃ、行ってくる」
頭を一回撫でて部屋を出て、自分の朝食を食べジャージに着替える。スポーツバッグを持って家を出て鍵をかける。
どうしても彼女に明後日遊びに行かせてやりたい。彼女の笑顔以外はあまり見たくないから。
帰りに一応解熱剤買って行くかあ、と欠伸をしながら学校までの道のりを歩く。
今日も太陽が近い。

諦めかけた二日目と諦められない一日前
(37度ちょうど、あとちょっと)(今夜ゆっくり寝たら大丈夫だろ)
20120927
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