殺伐とした雰囲気が俺を呑みこみそうになる時がある。妄想かもしれない。とにかく、俺はこのままでいいのか、現実はこうも容易くていいのかって、そう思うときがある。ルックスも運動神経も文句なし。勉強のほうも、まあ文句なし。中の上というより上の生活をおくってきた。だからこそ、少し不安になる。俺に近付く人間はみな、外見ばかりに惹かれているのではないだろうか。それを紛らわせるようにこんな馬鹿馬鹿しい性格になったのかもしれない。いつも笑ってればなんとかなる環境が俺を生み出したのかもしれない。
そこにあらわれた美樹っちは、俺に最初は全然興味がない様子だった。なんだか世間を知らない危ない子のように思えた。俺の認識も全部、内面から見ているような気がした。
「美樹っち!ついに夏休みっスね!ちょっと寂しいっス…」
「携帯電話もあるし、この頃調子がいいから遊びに行こうよ」
優しく笑う美樹っち。世界で一番この笑顔に俺は癒される。世界で一番、というと言い過ぎと笑われるかもしれないが俺の中では世界で一番なのだ。
「花火、楽しみっスね」
「浴衣、お兄ちゃんと選んだよ!まだ内緒だけどね」
「それが一番楽しみっス。全員合わせて五人分予約しとかないとっスね」
「本当にありがとう」

未確認の幸せ
20120907
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