「テスト、どうしましょう」
「どうかしたのか」
教科書を見ながら溜息をつくと彼はそう訊いてきました。数学の教科書。少しだけ苦手な単元。彼はそれを見るなり、「手伝ってやろうか」と偉そうに言ってきました。「お願いできますか」と訊くと「案外簡単なのだよ」とさらりと嫌味を言いました。
「何がわからないのだ」
「解らない事が解らないのです」
「それは一番ダメなパターンなのだよ。とりあえず問題集を解いてみて、解けないところを教えろ」
学校で配られた分厚い問題集から苦手な単元のページを開きノートにせかせかとき始める。彼はじいっと私が解くのを見ていた。気が散ります。
「変なくせがあるな」
「え?」
「そんな風に難しく考えるからできないのだよ」
「そんなに、難しく考えたつもりはないのですが」
「この公式を覚えれば一発だろう」
教科書の太字の公式を見せる。そんなものなくたって解けると思っていたけど、どうやらそれを覚えてないから時間のロスとケアレスミスを生み出していたらしい。次はそれに沿ってやってみるとすぐに解けた。
「ありがとうございます」
「礼を言われるほどでもない。俺は何もやっていないのだよ」
彼は眼鏡をくいっとあげてそっぽを向きました。

共通点のあるようでない風
20120928
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