「またおまえか」
「また緑間くんですか」
はあ、と溜息をつく緑間くん。こちらが溜息をつきたいくらいです。それにしても緑間くんは私のことをよく見つけます。いきなり見つけて驚くんじゃないのです。
「何を読んでいるのだ」
「夏目漱石の文鳥です。面白いですよ」
「そのくらい知っているのだよ」
「そうですか」
しーんとした空き教室。今は放課後で、テスト期間中。緑間くんも部活が休みで勉強しようと思ったのだろう。私と緑間くんしかいない埃っぽい教室。
「おい」
「なんですか。用があるなら手短にお願いします」
「貴様は何故、いつも一人でいるのだ」
「そりゃあ、話す事とか場を盛り上げることが兄より苦手だからです」
「黒子か、」
「黒子、は兄のことをさしているのですね。それでは私のことは留里と呼んでください。まざります」
「そうか、なら留里、貴様の今日のラッキーアイテムはメロン味の飴なのだよ」
「話の流れが読めないのですが」
「みずがめ座のおまえの今日のラッキーアイテムはメロン味の飴だと言っている」
「いや、それは解るのですが支離滅裂です」
「受け取れ」
緑間くんは私に飴をくれた。メロン味。
「ありがとうございます」
「それと、俺のことを緑間くんと呼ぶのは黒子だ。おまえは俺のことを真太郎と呼ぶべきではないのか?」
「そう、ですね。では真太郎とお呼びしましょう」
それから黙って私は読書、真太郎は勉強に勤しんだ。
なんか、違和感。

あなたのラッキーアイテム
(毎日おは朝をチェックするべきなのだよ)(その時間はもう家にいません)
20120823
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