お付き合いを始めた。楽しすぎて、季節はどんどんとすぎた。いつの間にか、気付いた時には三年生の秋になっていた。肌寒くてぶるりと震えると真太郎はラッキーアイテムであるグレーのカーディガンをかしてくれた。
放課後勉強して一緒に帰るのが日課となっていた。
部活はもう終わっているけれど、長年のくせが抜けないらしく、帰りに公園で毎日バスケをする。それをわたしはベンチに座って眺めたり、たまに一緒にドリブルをしたりするけどやはりへたくそで、真太郎は「黒子と同じだ」なんていう。
ああ、またきれいにシュートが入った。
「真太郎は学校決まりましたか?」
「留里こそ、決まっているのか?」
「わたしは決まってないから真太郎に相談してるんです。かなり悩んでいて。真太郎はやはり県外に行くんですか」
「いや、東京に残る。ここから自転車でいける秀徳高校にしようかと思っている。勉強も出来るしバスケも強い。特待の話もきているのだよ」
「すごいね。わたしは偏差値ちょっと足りないかな。やっぱり誠凛行くしかないのかなあ」
「俺が教える」
「え?」
「俺が教えるから、同じ高校に行こう。そのために近い高校を選んだ。そのくらい空気を読むのだよ」
「いいんですか?わたし、平均ぐらいしかとれないのですが」
「俺が教えるんだ。できるに決まってる」
「では、お願いします」
にっこり笑ってみせると、真太郎はふん、と鼻で笑って眼鏡のブリッジをあげ、シュートをうつ。また綺麗に入った。
真太郎の頬は、赤く染まっている。照れているのだ。
「真太郎」
「なんだ」
「好きです」
「当たり前だ」
わたしは真太郎の近くまで行く。真太郎は照れながら少し背中を丸めてわたしの唇に彼の唇を重ねた。
「力の限り頑張ります」
「留里は俺と一緒にいるべきだからな」
「そうですね」
冷える指先をあたためるのはあなたしかいない。
だからずっとあたためていてほしいと、わたしは願うのです。

END~20130819
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