朝真太郎といろいろとお話して、なんともなかったのでまあこのようなものですね。ところで何故青峰くんと桃井さんはわたしが真太郎のことを好きだと知っていたのでしょうか。お兄ちゃんにしか言っていないような気がするのですが。まさかお兄ちゃんは青峰くんと桃井さんに言ったのでしょうか。すごく気になります。さて、もう放課後ですし、今日はお兄ちゃんと一緒に変える約束もしていないので夕食の材料でも買って帰りましょうか。ガタンと席を立って教室を出ようとすると不思議な事に鍵がかかっています。わたし、もしかして忘れられていたのでしょうか。いえ、よくあることです。しかし問題が一つ。この学校の教室は内側からも外側からも鍵がないと出たり入ったり出来ないので、手段としては窓から出る事しかできないのです。わたしも一応恥じらいというものがありますが、誰もいないのでよしとします。窓を開けて鞄を落とし、近くの机を拝借して窓から飛び降りようとするとバランスを崩してその場に座ってしまいました。恥ずかしいです。
「留里…?」
「はい…?」
隣を見ると、なんと真太郎が立っているではありませんか。しかも教室の鍵を持って。もしかして真太郎が鍵を閉めたのでしょうか。いえ、違いますね。真太郎はそんなことするとは思えません。では、なぜ真太郎がこんなところに。
「き、奇遇ですね」
「何をやっているのだよ」
「それはこっちの台詞です」
「俺は忘れ物をとりにきただけで……もしかして閉じ込められていたのか?」
「いえ、忘れられただけです」
「……そうか」
真太郎が気まずそうに溜息をついて手をわたしへと差し伸べます。手を置くとぐいっと引っ張られました。わたしはまたバランスを崩してしまいます。運悪く、真太郎もバランスを崩して二人で倒れこんでしまいました。真太郎の中にすっぽりと入ってしまいます。
「し、し、しんたろ」
「……」
何も言わずにわたしの腰に片方の手を回し、ぐっとはなしてくれない真太郎。真太郎が変です。顔をあげると真太郎はもう片方の腕で自分の顔を隠していました。
「留里」
色っぽく名前を呼ばれて胸がどきりとはねます。
「好きだ」

何も見えなくなった
20130405
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