暖かい昼下がり
「ふあぁあ…」
「眠そうですね、モノ」
「んー…」
暖かい昼下がり、次の授業前の出来事。大きな欠伸を放ったモノに、同じクラスのファリティは穏やかに微笑んだ。
「学院には慣れましたか?」
「んー、まぁね。楽しいとこだと思うよ。知らなかった歌も知れたし…」
言いながら、また「ふあぁ…」と小さな欠伸を吐く。トロンとした目をして、駄目だ。と机に突っ伏した。
「授業まで寝る…って言うか授業も寝るかも……」
はいはい、と苦笑するファリティの声を最後に、モノの意識は途切れて行く。しばらくして寝息が立ち始める。ファリティは教室の後ろ、ロッカーからショールを取り出し、モノに掛ける。暖かいとは言え、眠っている人には肌寒いかもしれない。
異世界からの迷い子にも優しいこの学院は、モノやファリティにも優しく。普通に暮らしていたら、出会えるはずの無かった友人に出会えた、大切な場所。
「おやすみなさい」
暖かな昼下がり。穏やかに過ぎて行く時間を、今はただ大切に。一緒に居られる今を、ただ大切に。
...END...
prev /
next