神涙図書室 | ナノ




  学院長の使い魔




 学院長には精霊の使魔がいる。フィー、フレイ、アクア、ラウン、ネブラ&ネーベル、その他にも、長い生のなかで力を借りた精霊は沢山いた。なので、世界精霊の日に限らず精霊との接点は沢山あった。いつの頃からか、世界精霊の日が精霊への感謝を伝える日になったときに、人と精霊の関わり方がより穏やかなものに変わってきた事を、少しばかり喜んだ。

             ◆◇◆◇◆

 フィーは、穏やかな陽を浴び、柔らかな風を受けた。世界精霊の日。人の決めたイベント事ではあるが、こうして人と精霊が触れあうような時代は、悪くはないなと思う。もっとも、自分は主(あるじ)にも恵まれたのだけれど。今日は世界精霊の日ですね、とにこやかに「ありがとう」を告げるその人に、此方こそ、と返した。

             ◆◇◆◇◆

 フレイは、喚ばれた意味を理解すると、呆れたように息を吐いた。世界精霊の日。人の世の下らないイベントに、自分を喚んで礼を告げた目の前の人は、ただ笑っていた。久しく喚ばれなかったこの世界を生きる主の穏やかさに目を細める。この物好きがことある事に自分を喚んで、無茶を続けていた日々は、もうどれほど前なのだろうか。下らぬことで喚ぶなと、毎度効果の薄い台詞を置いて、姿を消した。

 end



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