らくがきだらけの設計図
「らくがきされた設計図みたいなんだよな」
何が? と、問い掛けると、ユリウスというその教師は、あれ、と、遠くにいる白衣を着た女性を指した。
「正確性はあって完成度は高いのに、所々に子供がらくがきしたような、そんな不確定要素があって。けど、そのらくがきがまた上手いこと精巧なのが腹立つ。設計図通りにいかないなと思ったら、いつの間にからくがきのほうを追ってた的な」
頭の良い人間の比喩は、時として難解だ。首を傾げていると、まあ、と、何か1人で納得したように頷く。
「設計図は設計したら終わりだけど、らくがきされ続けたらいつまでたっても設計できなくて終わりがないから。しかも、そのらくがき自体にも価値がある」
だから結婚したんだよ、と。
良く分からないままに閉じられてしまった馴れ初めは、到底、理解できるものではなかったけれど。
end.
Thanks!
白衣の女性⇒トイ・クラウザー(魚住なな様宅)
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