神涙図書室 | ナノ




  恋心くるり★



 聖女の感謝祭。男性への感謝を伝える日だったイベントは、時代を経て愛の告白の日ともなる。殆どの恋人や、女の子達が浮かれるなか、クレハは、別な意味で心拍数をあげていた。

「クレハ殿ーっ」

「ひいぃっ!」

 なぜ自分は、今日と言う日もヤシロ先生に追われているのか。からかうにしたって度を越していないか。本日イベントにより逃げ回っている、多数の男性教師に混じって敷地内を走り逃げながら、付かず離れず追ってくる相手に向かって叫ぶ。

「ごめんなさいっ、ありませんからっ」

 半泣きになりながら走る心拍数は、恋ではない恋ではないと。吊り橋効果なんてものも信じてなるものかと。それでも彼に追われない日がなんだか物足りないと。いやいや、習慣と日常になっているから落ち着かないだけなんだ、彼が恋しい訳じゃないとか。いろんな言い訳で自分を守ってみるけれど。

 ある年の聖女の感謝祭。追われる前に、投げつける。

...fin

Special Thanks...
ヤシロ(文月ゆと様宅)




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