奪った時間と未来への懺悔
懐かしい夢を見た。
シャムカ・コウレンは、木陰で身を起こす。
『あなたがわたしに使ってくれた時間は、どうしたら返せるのでしょうか』
かつての恋人は、涙が流れるか流れないかのところで顔を歪めて、俯いた。滴は、砂漠の砂面に落ちて、あっという間に無かったものになる。
『叶うことなら、あなたと一緒に生きたかった』
呟かれた言葉に、背を向けた。叶わぬ事は承知していた筈だった。彼女を連れて行く事も、側で見守る事もできず、ただ、町を離れた。
晴れた空を見上げる。太陽は、シャムカが生まれ育った砂漠のものより、優しい光を注ぐ。
『今までの時間は、無かったことには、ならないから。せめて、未来を今より幸せな時間にしてね』
そう願った彼女の未来は、幸せな時間になるだろうか。過去が、枷になりはしないだろうか。時間を返せないのは、こちらだって同じ事なのに。
...end...
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