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　空を覆う薄雲が晴れたとき、現れた丸い月の光に、闇が晴れたと救われるのか、眩しさに目を覆うのか。

　雲に意思はない。月に動機もない。ただ雲が晴れて、ただそこにあった月が姿を現しただけ。その結果、それを受けた何者かが、何かしらの感情を抱いた。

　自分がやっているのは、そういう事なのだとセザクシェルは夜を見上げた。

　ただ、流れ、ただ、照らした先に居た者が、感謝しようとも、迷惑だろうとも。雲も、月も、空も、ただ在るように在るだけだ。

「迷いは、無い」

　雲が流れるように、月が照らすように。

　誰かと関わることは、常に寄り添うだけではない。


...end...

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