神涙図書室 | ナノ




  どこかへ



 ーー何処かへ。此処ではない何処か。
 いつも何処かへ還りたいと願っていた。
 それは、死にたいと同義なのだと思っていた。

 けれど、今は。

 ずっと還りたいと願った先が、
 君の元だったのかと錯覚する。

「おかえりなさい」

 心地よい言葉が耳に残る。

 そういえば。

 少なくとも君と居るときは。
 還りたいと願った事などなかったんだ。


 ...end...





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