ソニヤとハゼルイメージ文 だったら愛してみてよ、と泣き喚いた。 なんて子供じみてて、なんて嫌な女だろう。そんなことをしたら、彼がどうするかなんて、わかっているのに。 それでも。包み込まれた腕と香りに、顔を埋めて安心してしまう。この人は、きっと私を裏切らない。 「私はね……ハクメイ。貴方が愛した人が死んでることに安心するような女になったのよ。競う相手がこの世にいないのなら、貴方は私だけ見ていてくれるでしょう」 「……そうだな。今ここにリゼが居たなら、俺はお前を選べなかった」 わかっては、いた。それでもはっきりと告げられた言葉に、唇を噛んで、回した腕に力を込める。 「だから、リゼの死が、リゼから教わった全てが。ソニヤを愛するためだったのだとしたら、俺は、そのために生きていく」 離された身体。覗き込まれた彼の瞳は悲しい色をしながらも澄んでいて。悔しさ、悲しさ、そして少しの嬉しさから、ボロボロと涙が溢れ、噛み続けていた唇から血が滲む。そっと顎に手を添えられて、唇を、その親指が、優しく、ぎこちなく、撫でるようにほぐす。 「俺にはそういう愛し方しか、できないが」 それは、きっと。お互いに恋愛ではない。 それでも。いつか。 |