君のこと思って今日はゆっくり眠れます




*海外でサッカーしてる成長豪炎寺さん



たとえば、目が冴えて眠れなくなった真夜中。
あたりは静かな闇につつまれて、どこかでかすかに風の音が聞こえるかもしれないような夜。何度目をつぶってみても、自然と目があいてしまう。
こんな夜は、羊を数えるより、ホットミルクを飲むより、円堂のことを考えておくのが一番賢明だ。
(・・・今日はどんな一日だったんだろうか。)
あいつが過ごしただろう一日をあれこれ考えてみるのもいい。まぁ、どうせ円堂のことだ。一日すべてをサッカーに費やして、あの笑顔でボールを追いかけてるんだろう。おにぎりを口一杯頬ばったり、ひょっとするとまた何かの特訓でも始めてるかもしれない。すべて俺の妄想だけど、あまりにあり得そうで気付くと笑ってしまっている。
(まさか怪我とかしてないよな)
最近忙しすぎて碌にメールもできてない。確かめておけばよかった、とちらりと後悔がよぎる。無理を無理と思わない奴だ。・・・まぁきっと周りにいるたくさんの奴がストッパーになってるだろう。特に風丸とか。
こんな風に思うとだんだん意識が薄れていく。今日も、ゆっくり眠れそうだ。俺は少し笑って瞼を閉じる。



こうやって、あいつのことをゆっくり思える時間なんてこんなときしかない。昼間、あまりに日本とは違う太陽の下で、まったく見慣れない町の中で、あいつがいないフィールドで、間違っても思ってはダメだ。少しでもあいつのことなんて思ってしまえば、その瞬間あいたくてたまらなくて、あの声で名前を読んでほしくて、いますぐ帰りたくなる。そして、二人の間にある距離に愕然とする。いつもは美しいと思う、強い日差しを反射する海が恨めしくなる。
円堂の側にいてやれない自分が嫌になる。海外でサッカーをするという自分の決断が正しいのか迷ってしまう。

でも、俺を笑って送り出したのは、他でもない円堂だから。豪炎寺のサッカーが好きだなぁと笑っていた顔を思う。結局、俺らはサッカーで繋がってる。フィールドであいつからのボールを受ける瞬間が最高の喜びな俺だから、サッカー馬鹿な円堂と上手くやれるのだと思う。

結局、会いたい気持ちはサッカーへとぶつけて、そんなことを原動力にボールを追いかける。


こんな不純な気持ちでサッカーに向き合う俺を円堂は笑うだろうか。笑ってくれればいい。涙がなければ、それでいい。


なぁ、円堂。
遠く離れても、おれはお前を
想ってるよ。
こんなに遠くにいても、気になるのはお前のことばかりだ。笑ってしまうだろ?毎晩お前の1日を思って眠りにつくなんて。

こんな馬鹿な俺をどうか笑ってくれ。今はそれしか俺はお前にしてやれないから。

いつか、いつか。俺がお前の前に立てるようになったその時は。覚悟してろ。全力でお前を笑顔にさせてやる。


だから今は、独りのベッドで幸せな光景を夢見て眠ることを許してほしい。

お前の笑顔で眠りにつく。それが今の俺の全ての愛情だから。










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