▽ナポレオン・コンプレックス



「ナポレオン・コンプレックスって言うらしいよ。」
「・・・何が。」

突然隣で着替えていた一乃が呟いた。
何となく、それが自分に向けられたものだと思った倉間は、ちらりと一乃の方を見た。
一乃は倉間の方を見ず、ワイシャツのボタンをしめている。
練習後の部室からは一人また一人と人が消えていき、いつのまにか倉間と一乃だけが取り残されていた。

「背が小さいことを気にする男性だってさ。」
「・・・だから?」

内心イラッとしながら倉間は分かりきった続きを促した。

「あれ、倉間怒らないんだ。」

意外、と言った顔で一乃は言った。
てっきりもうすこし噛みついてくると思っていたのに、予想とは違って倉間はおとなしく話を聞いている。

「なぁんだ、昨日たまたま見つけたときから倉間に言うの楽しみにしてたんだけど。」

そう残念がる一乃の横で倉間は下を向いたままぼそりと言った。

「・・・ちげぇし。」
「・・・?なに、っ!」

倉間ののばした手が一乃の胸倉をつかみ、顔を近づけさせて倉間は一乃にキスをした。
一瞬唇がふれたあと、倉間は至近距離で一乃の顔を見てにやりと笑った。

「こうすれば背なんか気になんねぇから気にしてねぇよ。」

してやったり、と言わんばかりの表情の倉間を一乃は赤い顔で睨んだ





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ついったでいただいたもがくさんからのリクエストで倉間×一乃でした!
もがくさん素敵リクエストありがとうございました!
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