短編 | ナノ

Novel
Short Story

ビー玉

 喉を通り抜ける思いの外強い炭酸の刺激に、瞬きを一つ。瓶を傾け過ぎてカポリと嵌ったビー玉に「意外と飲むのが難しいんですね、これ」と小さく感想を零した。新橋色と名付けられた特徴的な青色を陽の光に透かしながら中の小さなビー玉を軽く睨む子ギルに、少し呆れたような視線を向けた術ギルは自分の分のラムネを開ける為に指先に力を入れた。



寒い日は

 大分冷え込みがキツくなって来たある日の事だ。ふと思い立ったかの様に術ギルは「そうだ、肉まんを食そう」と呟いた。それに対して子ギルは呆れ声で「寝惚けてるんですか?」と返すが、思い立った術ギルは止まらない。サッと自分の装束を現代に相応しい物に変化させると子ギルを抱きかかえ歩き出す。それは抵抗する間もない程素早い犯行だった。



ふわもことケーキ

 小さな愛らしい毛玉くんがウェイターとして活躍し出してからお店の売上は右肩上がりだ。それと同時に彼の為の制服も少しずつ増えて、今ではこの店で一番の衣装持ちになった。たった数日でうちの看板店員としての地位を確立した毛玉くんは「ケモちゃん」の愛称と共に皆のアイドルとして今日もケーキと紅茶、そして幸せを運んでいる。



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