植えられた推し | ナノ

Novel
series
○月×日(吹雪)
今日、カルデアのキッチン付近に小さな小さな種芋に似た何かが落ちていた。植えたらもしかすると食べれるかもしれないと、部屋に持ち帰ったは良いものの、手頃な鉢植えが無い。仕方なく、マグカップを利用して植えてみたが大丈夫だろうか。室温は管理されているから問題なく育つはず…食べれる何かが育つと良いな。

○月△日(吹雪)
昨日植えたばかりの種がもう芽吹いていた。柔らかそうな金糸のような芽は風もないのにふわふわと揺れていて、もしかして何かしら魔術関連のものかもしれない。今度キャスターの誰かに見てもらおう。

○月○日(吹雪)
キャスターに見てもらったけど、何も問題はないからそのまま育ててみなっと笑いながら言われた。何故楽しげに笑っているのかは気になったが、植物に罪はないしそのまま育てることにする。心なしか芽も元気良く揺れるようになった。

○月□日(雪時々晴れ)
マグカップを置いたナイトテーブルの方を向いて眠っていた為、朝起きてすぐに目を開けた瞬間綺麗な顔が目に入る。マグカップからこちらを覗き込むキラキラとした金髪が眩しい。寝惚けた目でも確認できるほど整った顔立ちは円卓の騎士の一人・ガウェインに酷似している。というよりサイズ感を除いてそっくりそのままガウェインにしか見えない。「ガウェイン?」と聞くと頷く為、恐らくガウェイン本人なのだろう。取り敢えず急いで身なりを整えてダ・ヴィンチちゃんの元へと急いだ。ダ・ヴィンチちゃん曰く、小さいが確かにガウェインと同じ霊基を持っているらしい。取り敢えず自分に懐いてくれているらしいのでこのまま育てることにした。

△月○日(吹雪)
小さなガウェインは、騎士らしくもあり、それでいてちょっぴりドジだった。自分のサイズ感をよく忘れるらしく、高いところから飛び降りては顔面を強打したり足首を捻ったりしている。ステータスはガウェインと同じらしいので恐らく彼がとんでもなくドジなのだろう。大きい方のガウェインは何だか苦々しい顔で小さな自分を見守っていた。
…それはまだカルデアが少し平和な頃の話。

[back]


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -