植えられた推し | ナノ

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○月×日(吹雪)
美しいスタールビーが落ちていた。誰かの持ち物だろうかとダ・ヴィンチ工房へ持っていったら、それは植物の種だから拾ったあなたが責任を持って育てること!と言われてしまった。仕方がないので、植木鉢と土を貰い、部屋に戻って植えてみた。ジョウロを貰い忘れたのでビーカーで水をやったが問題ないだろう。

○月○日(吹雪)
黄金色の美しい双葉は芽吹いた。魔力が溢れているらしく、鉢植えの近くに魔術具を置くと調子が良くなる。なんとなく良いものを拾った気分になった。

○月□日(猛吹雪)
種と似たような形のルビーのようなものが生えてきた。順調に育っているらしい。このルビーのようなものは取れるのか気になったので、引っ張ってみたが全く取れる気配はなかった。

○月◇日(雪)
引っ張った翌日、既にカルデアに召喚されている賢王より遥かに小さな賢王がお怒りの様子で鉢植えから自分を呼んでいた。どうやら昨日思いっきり引っ張ったのがよくなかったらしい。確かに自分が悪かったと謝罪し、お詫びの品として小さな賢王にあったサイズのクマの形をしたグミをプレゼントした。取り敢えず怒りを納めてくれたらしい。展開しかけていた宝具はスッとかき消えた。

△月○日(雪時々晴れ間あり)
どうやら小さな賢王はグミを気に入ったらしく、時折求めてくるようになった。自分のおやつのついでなので、賢王の分を分けて確保しておくことにした。その様子をジッと見ていた賢王は満足気に頷いていた。

△月×日(猛吹雪)
ビーカーで水やりしてくるのはもう諦めるので、せめて鉢植えを王に相応しいものに変更するように要求された。確かに王様を小さな茶色い何の装飾もない鉢植えに住まわせるのは不敬だなと思った為、ダ・ヴィンチ女史に頼んで華美な鉢植えを用意してもらった。賢王も気に入ったらしく、その日は一日ご機嫌だった。

×月◇日(吹雪)
賢王のお風呂用のマグカップをエミヤさんに頼んで、お洒落なティーカップに投影してもらい薔薇の花びらを浮かべてみた。賢王は流石王様なだけあって、凡人なら笑えるだけのそのティーカップ薔薇風呂を美しく使いこなしていた。ちょっと面白い。

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