植えられた推し | ナノ

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×月×日(猛吹雪)
廊下に小さな輝くものがあると思ったら、マスターである彼がカルナからバレンタインに貰っていたものが落ちていた。慌ててマスターのマイルームへと届けると、カルナから貰ったものは大切に保管しているという。ではコレは何だ?と思いダ・ヴィンチ工房で調べて貰った所、植物の種のようなものだと言われ育ててみることになった。何が生えるのだろうか。一先ず普通の植物と同じく鉢に植え、水を与えた。

×月○日(吹雪)
植えて一日目にもかかわらず、既に芽が出ていた。白くてふわふわとした見た目でおおよそ植物には見えない。調べてみたが何の植物なのかは不明だ。触れてみるとなんだか綿毛のように柔らかい。ここからどう育つか楽しみだ

×月▲日(雪)
白いふわふわがどんどん増えている。どうも一方方向にのみ伸びているのが気になるが、順調に育っているようだ。

○月○日(吹雪時々晴れ間あり)
朝、「おきろ」という声に起こされた。見ると、鉢からおおよそ7cm程度の小さなカルナが顔を出していた。急いでダ・ヴィンチ工房に連れて行くとどうやらサイズが小さいだけで霊基は本人のものらしい。現在、カルデアで顕現されているサーヴァントの別の側面の集合体というのがダ・ヴィンチ女史が出した答えらしい。取り敢えずこのまま育てていくように指示を出された。

○月×日(雪)
どうやら彼は絶望的に言葉が足りない質らしい。喧嘩を売られているのかと思ったら激務である自分たち職員を心配しての言葉だったようだ。忙しさのあまり思わずきつく言い返してしまったが、謝ると許してくれた。お互いのコミュニケーション不足を反省し、今後はきちんとコミュニケーションを取っていこうと約束をした。

○月◇日(吹雪)
コミュニケーション不足を補う為、なるべく会話をするようにしている内に彼の言いたいことを少し理解できるようになった。これは大きな進歩だと思う。その会話の中で知ったのだが、サイズが違うだけでやはりサーヴァントらしくスキルや宝具を使うことも可能らしい。なかなか有能な生き物のようだ。


番外編:小さなアルジュナの飼育主

△月×日(吹雪)
恐れていた事態が起きた。とうとうアルジュナにカルナの存在がバレてしまったのだ。実は大きなアルジュナより先にカルデアにカルナが召喚されていたせいでとんでもない事になったことがあったのだ。小さなアルジュナはそのサイズに戸惑うカルナに向けて宝具を展開している。カルナはカルナでそのライバルの姿に戸惑いつつも武器を構えている。張り詰めた空気の中、エアークラッシャーでお馴染みのダ・ヴィンチ女史が「見てみて〜!愉快な仲間を見付けたぞ☆」とその手に小さなカルナを乗せて飛び込んできた。以来、小さい方の喧嘩は大きい方が止め、大きい方の喧嘩は小さい方が止めるという何だか上手い感じに収まった。しかし小さなカルナの方は誰が育てていたのだろうか。聞くタイミングを逃してしまって、謎が残ったままだ。気になる…。

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