「ふ、振られた…」
「ドンマイ」
「うわ…メロそれひどくない?可愛い幼なじみが振られたんだよ!?ほんとありえない、あのバカ男!」
メロの耳元で一気に叫ぶと、彼はブロンドの髪をさらさら揺らして盛大に溜め息をついた。けれどその綺麗な髪を見たって今の私の心は満たされない。むしろ腹立つ。何でそんなに髪綺麗なのよ!ドンマイの発音が良すぎるのもムカつく!
「私の話聞いてる?」
「嫌」
「意地悪!ちょっとくらい愚痴聞いてよー」
「だから何でいつも俺のとこに来るんだよ」
こういう話ならマットの方が得意だろ、と彼は眉間にシワを思いっきり寄せてこちらを向いた。
はて、そう言えば何でだろう?メロに言われて初めて気がついた。確かに私はこういう時メロばっかりに頼ってる気がする。だけど今の私にそんな事を考えてる余裕はない、とりあえず失恋の傷を癒やして欲しい!誰かの優しい言葉が欲しい!
「何でもいいから慰めて下さい…」
「俺はあんな男やめとけって言った、聞かなかったお前が悪い」
「だって…!」
「お前は男を見る目がない」
「………うっ」
「鈍感、バカ女」
「私は慰めてって言ってるのよメロのバカ!」
ひどい、あんまりだ。慰めて貰おうと思ってここに来たのに私のガラスの乙女心はメロによってもう粉々。
メロはというと、それからうざったそうに目を細めてから黙り込んだ。どうやら私を慰める言葉を探しているみたい。ほら、なんだかんだ言ってメロは優しいから。
「あぁ、わかった」
しばらく悩んだ後、一人納得したようにそう言ってこちらを向いたメロの顔はいつになく真剣だった。
俺にしとけよ
(ずっとそうなればいいと思ってた)