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気に入らない女だと思った。自分の一番苦手な人種だと思った。
関わらない方がいいとそう直感で感じて、彼女を拒んだ事は正しい選択だったと思う。それでも何を企んでいるのか知らないが、彼女は私の中に入り込んで来た。ずかずかとではなくて、いつの間にか、気が付いたら隣で彼女が笑っていた。

それがとてつもなく怖かった。

自分みたいなのと一緒にいて何が楽しい、同情か、偽善ぶっているのか、


本当はいつか裏切るのだと笑われる事が怖くて、なら最初から誰とも交わらなければいいという結論に達した。突き放した。そしてそれは彼女を深く傷つけた。


「偽善者ぶるのもいい加減にしたらどうですか。私は貴女みたいな人間が大嫌いです」

仮面を被っているのは自分の方だと、自分が一番よくわかっていたくせに。
どうせいつもみたいに、彼女はへらへらと笑って終わりだろうと思っていたのに予想外の反応をした。


「……ごめんなさ、…」

大きな瞳から零れ落ちた何かが、つーっと一筋だけ頬を伝って絨毯に染みを作る。

まるで、それは、



「ごめんね、さようなら、」

するりと扉の向こうに消えてから気付いたものの存在は、あまりに大きすぎた。




逆立ちの世界
(五秒前と目に映る景色さえ違う)

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