novel
私の好きな人は、ツンデレさんです。
いっつもそっけない態度だし、あんまり構ってくれません。
それに彼は重度のシスコンさん。
…妹さんはとおおっても可愛らしくっ抱き着きたくなっちゃうような子だから、しょうがないけど。
やっぱり落ち込むときだってあります。
でも、それでもね。
私は君が大好きなんです。
・・・・まいだーりん!
「リントくーん!!!きょーもカッコいいです!」
明るい声が響き渡る。
その声の主は、金髪のくるくるにウェーブした長い髪を頭の上で括っている少女…レンカ。
輝く金髪に白い肌、ちょっと釣り目な大きな瞳ににこにことほほ笑む口元。
完結に行ってしまえば、非常に可愛らしい美少女である。
さてそんなレンカが向かうは、今日も今日とて変わらずの彼。
「あれ?きこえてますか?リントくーん?!」
「だーうっせえ!きこえてるっつーの!!!!」
「よかったー!」
「…何がだよ!?」
こちらも同じく輝く金髪、長めの前髪を白いピンでとめている少年…リント。
彼もレンカと同じく目を見張る美少年…であるが、どうにもご機嫌斜めの様で。
険しい表情のまま、じろっとレンカに視線を向ける。
顔が整っているだけにその視線はかなりの威力。
普通ならばすくみ上ってもおかしくはないだろう。
しかしレンカにとってはそうではないのか…向けられてもサッパリ動じず。
目線をあわせ、レンカはにっこりとほほ笑んだ。
「だって、リント君とお話したいですもん」
「なっ?!」
「あ、やっとこっち向いてくれましたねー!」
「…うるせえ」
顔が赤くなるのが抑えられず、リントはまたもそっぽをむく。
其のときレンカが不満そうな声を出していた気がするが、それはもう無視だ。
あぁもう、どうしてだ。
こんなにてきとうにあしらっているのに。
やさしくなんて全然してないのに。
どうしてかレンカはいつもリントの傍にやってくるのだ。
いつも、いつも。
そうして、無茶苦茶なことを言ってリントを困らせて。
…いつのまにか、当り前のように隣にいて。
それはそれはしあわせそうな微笑みを、こっちに向ける。
こっちに、…リントに。
「…ばーか」
「あっ酷いです!」
「ばかだよ、ほんと」
本当に、ばかだよ。
ちいさく呟いて、リントは下を向いた。
…赤くなりかけている頬を、隠してしまいたかった。
どうして、こんなに。
「へへへ、でもいいんです」
「?」
「だって、私はリント君ばかですから!」
「!!!」
どうして、こんなに顔が赤くなっているのだろう。
どうして、こんなに心臓がうるさいんだ。
どうして。
「…うるせぇ」
「えへへ」
「…ばかやろ」
私のいとしいツンデレ君!!!
(リント君顔まっかですー!)
(うるせぇ!)
おわれ
・・・・・・・・・・・・・・・
結局どっちも惚れている。リアじゅう乙!
2011/05/19