『「名前(お妙)でございます、可愛がってくださいまし」』
「だから違うゆーとるやろ!!
そこでもっと胸の谷間を強調じゃボケッ!!
お前はそのふてぶてしい態度どうにかならんのかいな!!」
「胸の谷間なんて十八年生きてきて一回もできた事ないわよ」
『ぺっ』
「あ、スマンやりたくてもでけへんかったんかィ、舌打ちすんな。
まァエエわ!!次実技!!パンツを脱ぎ捨ていよいよシャブシャブじゃー!!」


躊躇うお妙さんに天人はお妙さんを押し倒し無理やりパンツを脱がしにかかる。
ちょ…何すんだ!と、殴りかかろうとするのをグッ!と堪えて私は口を開き叫んだ。


『待ちなさい!
脱ぐのは…私からよ!!』
「名前ちゃん…!?」


着物の裾をたくし上げてパンツを脱ぎ捨てようと手をかけた時…ゴゴゴという音が近づいたと思ったら、物凄い轟音と共に何かが突っ込んできた。
煙に蒸せていると船が突っ込んできた!と叫ぶ天人の声に天人達が部屋に入ってくる…しかもパトカーらしい。
な、何でパトカーがこんな無茶な事を…と船を凝視していた時、船の残骸から2つの影が。


「安心しなァ、コイツはただのレンタカーだ」
「「!!」」
『ぎ、ぎんちゃ…ん』
「どーも万屋でーす。
此方で働いてるうちのバイトの子引き取りに来ましたー」
「姉上ェ!!名前さんんん!!
まだパンツははいてますか!!」
『ごめんなさい……銀ちゃん…パンツ、脱いじゃった…』
「マジかァァァ!!!」
『冗談☆』
「マジかァァァ…」
「何鼻血出して残念がってんだアンタはァァァァ!!!」


それは、銀ちゃんと新八君で…新八君のお妙さんを返してもらう、という言葉に天人はもう遅いと、道場は只じゃすまないと怒声を浴びせる。
けど新八君はしったこっちゃない、とお妙さんの泣き顔見るくらいなら、道場はいらないと真っ直ぐ天人を見据えて言った。


『わっ私がはたらくか…
「名前」
銀ちゃん…私はもう関係ないでしょう?
助けられた恩はいつか返すから今は…』
「そんなん、あのゴリラの娘が喜ぶと思うか」
『!!』


突き刺さった銀ちゃんの言葉。
それと同時にフラッシュバックする映像。


「名前がいなくなれば、どれだけの人が悲しむと思ってるんだ!!
リボーンや獄寺君、山本やお兄さんやヒバリさんやディーノさん……ランボにイーピンもビアンキも母さんも父さんも……京子ちゃんやハルやロンシャンやクラスのみんなも!!
骸達やヴァリアーやコロネロやシャマルやバジル…9代目だって………オレだって!
みんな悲しむんだ!!みんな名前が大切だから!!
だから名前と戦う事になっても一緒にいたいと思えるんだ……!
……名前の過去だってオレは気にしない………だって、名前は名前じゃないか……たった一人の、オレの幼馴染みじゃないか………


………もう、一人で抱え込まないでよ……名前……」


『…………』


「……それに、誰かを失って絶望する悲しみは、名前が一番知ってるんじゃないの………?」


『………っ!!』



『……………』
「ボケがァァ!!
たった二人でなにできるゆーねん!!いてもうたらァ!!」
「オイ、俺がひきつけといてやるから、てめーは脱出ポッドでも探して逃げろ」
「あんたは!?」


新八君の問いに新八君はお妙さんの事だけ考えていればいいと新八君を見ずに答えた。
俺は俺の護りてェもん護る、私を見て言う銀ちゃんに私は泣きそうになるのを堪えて腰に提げた刀を持った。
天人は話のやり取りを聞いてイライラしていたのか銃を向けてくる、そして引き金を引くその刹那、


ドガドゴン


天人を次々と吹っ飛ばしていく銀ちゃん、その強さに誰も手が出せない。


「新一ぃぃぃ!!いけェェェ!!」
『新八だよ!』
「新八だボケェェ!!」


新八君がお妙さんを連れて行ったのを見送ると私も銀ちゃんと同じ様に刀を鞘に収めた状態で振り回す。


「おい名前!?お前も逃げるんだよ!!」
『女の子は格好付けたい生き物なの!!』
「!!
名前……お前ェ…」
『………とはいえ、この数は無理!!
「おぃぃぃ!!?」


天人の言った通り二人でどうにかなるものでもなく、新八君には悪いけど私達もすぐに逃げ出した。
そして先に逃げていた新八君とお妙さんに追い付き一緒に全速力で入り込んだのは動力室、行き止まりだ。


「追いかけっこはしまいやでェ。
哀れやの〜昔は国を守護する剣だった侍が、今では娘っ子一人護ることもでけへん鈍や。
おたくらに護れるもんなんてもうなんもないで、この国も…空もわしら天人のもんやさかい」
「国だ空だァ?くれてやるよんなもん、こちとら目の前のもん護るのに手一杯だ。
それでさえ護りきれずによォ、今まで幾つ取り零してきたかしれねェ。
俺にはもうなんもねーがよォ、せめて目の前で落ちるものがあるなら拾ってやりてェのさ」
『………銀ちゃん』
「なんもねーは言い過ぎか、なぁ名前ちゃん」
『………うん!』


銀ちゃんの言葉をしみったれた武士道だと蔑み、もう去ねと銃を構えた天人に下っぱが私達の後ろにある動力源であろう機械に当たったらいけないと制止する。
が銀ちゃんはそんな事お構い無しにその動力源、船の心臓に攀じ登り木刀を構える。


「客の大事なもんは俺の大事なもんでもある、そいつやうちのバイト護るためなら俺ぁなんでもやるぜ!!」


船の心臓に亀裂が走り、浮く力を無くした船は急降下する。
気持ち悪い浮遊感と共に意識を飛ばし、次に目を覚ましたのは港、陸の上だった。


「んだよォ!!江戸の風紀を乱す輩の逮捕に協力してやったんだぞ!!
パトカー拝借したのくらい、水に流してくれてもいいだろが!!」
「拝借ってお前、パトカーも俺もボロボロじゃねーか!!ただの強盗だボケ」
『銀ちゃんそんな事したの?
ごめんなさい、銀ちゃんも必死だったんです』
「い、いやぁ…いいんですよハハハ…」
「マジで!?いいの!!」
「ダメだ!」
「何っでだよォ!!今いいって言っただろーが!!」
「それはこの可愛い子に言ったの!お前はダメに決まってんだろォ!!」
「なんじゃそりゃァァ!!
名前も何か言って…名前ーー!!?」


新八君が此方に駆け寄って来るのが見えたので銀ちゃんが叫んでるのを背に新八君に駆け寄った。
どうやら新八君は銀ちゃんの所で働きたいらしい、銀ちゃんの事だから断るなんてしないだろうな、なんて思った。


『よろしくね、新八君』
「は、はい!」
『新ちゃんって、呼んでもいい?』
「ええええ!!?いいんですかァァ!!?」
『あれ?疑問系で返されちゃった…いい、よ?』


何故かやっふぅうううと喜ぶ新ちゃんを見つめていると、お妙さんが近付いてきた。


「私も、さん付けはやめましょう?私達同い年なんだし、ね?」
『……うん!お妙ちゃん!』


何だかとっても嬉しくなって未だに言い争っている銀ちゃんに駆け寄り思いっきり抱き付いた。


『銀ちゃん!』
「名前か…いきなり何なんだよ…銀さんの喉仏が仏さんになる所だっ
『私っこれからも銀ちゃんに付いてっていいの?』
「………は?」


は?という言葉に私は思わずびくりとなる、そ、そだよね…あんな事言っちゃったもんね…
落ち込んで俯く私の頭にポンと手を置く銀ちゃん、思わず上を向くと、相変わらずダルそうに笑う銀ちゃん。


「俺ぁずっとそう言ってんだけどなぁ?」
『!!!』



(銀ちゃん大好きっ!!)
(早まらないで名前さんんん!!)





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