須田恭也
前日/23:26:19
上粗戸/眞魚川護岸工事現場






















『此処なら何とかバレないよね…』


「あいつ何なんだよ…いきなり銃で…」


『石田はもう人間じゃない…屍人…この世にいてはいけないモノ。
私達から見て石田は狂ってるけど…石田、屍人から見た私達は化け物なんだよ…
くそぅ…名前ちゃんみたいな可愛い子を化け物だなんて…』


「………」


最後の一言さえなければいいのにな…なんてその子を見る、本当にこの子は何者なんだろうか…
取り敢えずこの状況を理解してるのはわかる、まぁそれに反して物凄い馬鹿っぽそうなんだけど。
あんな森の中で寝てるし、変な奇声は発するし性格明るいけど可笑しいし…足遅いと思ったら逃げ足は速いし…あ、そういえば、


「俺の名前やHNなんで知ってんの…?
俺、君に会った事もないし知らないのに…」


『え゙っ…えーと、私の知り合いが君の事知ってたみたい。
学校が一緒だったかな…忘れちゃったけどその人オカルト好きだから』


「ふーん…
なぁ、君の名前教えてよ、君多分俺とタメだろ?」


『私?』


何かよくわかんないけど相手が一方的に知ってたって事でいいのかもしれない。
その子、名前は俺とタメだと思ってたけど、なんと年上…悪いけど見えねー…
俺より二つ年上らしく、でもタメでいいと笑った名前…普通にしてたら可愛い(いや多分、てか絶対気のせいだ)かも。
いや和んでる場合じゃねーんだよな、早くあの駐在を何とかしないと、名前もいつの間にかあの駐在の手帳拾ってるし。


『あ、車の鍵…きっと外のトラックのじゃない?
私一応免許証持ってるんだよ☆…ってあれ、ポケットに入れてたのに…』


「落としたんだ…」


『ゔっ…』


俺からの視線に逃げるように奥の雑誌を調べる名前、本当、あれで年上なんだからびっくりするよな。
まぁ取り敢えず、俺と名前はトラックで逃亡する事に決め、駐在が別の方向を見ている隙にトラックに乗り込む。
トラックに乗り込むや否やわたわたする名前に俺が指示する、本当に大丈夫なのかこの人。


パァンッ


『ふわぁあああ!!?』


「うわっ!」


駐在が此方に気づいたのか銃を発砲しフロントガラスに皹が走る。
その事に名前がビビったのか、トラックを急発進させる、あ、おいそんな急に発進させたら駐在に…


ドガンッ
ズズッ…


『…………』


「…………」


轢いたな、轢いたよな。
しかも引きずったな、何メートルか、確実に。


……さてどうしよう。





駐在アンチテーゼ。
(一難去ってまた一難)










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