tanka | ナノ

特別じゃなくて異端の顔してる アスパラガス、君も僕の仲間

幾つもの光るハーレムくぐり抜けもう生物の温度も忘れた

下痢便のような音を出すバイクに跨るおまえの背骨は金色

もう何もぶっ殺したくないんだよ 私だって竹になりたい

信号になりたい人に善いひとはいないね きっと傲慢なんだね


loveだとかpeaceだとかを歌ってるボーイとクスクス泣いた日もある

「くらげってなめくじの仲間だと思ってた。こんなにしっかりしてる子なのね」

はまぐりの口からぴちゃぴちゃとびだした となりのお部屋でママがないてる

ナナちゃんは優しい子だけどジロウだけには特別なうふふの角度

熊を殺すと雨が降ると言った祖父が光の中で遺伝子混ぜた

青色を抱えて生まれてきたことを呪うたび乱歩がニヤニヤ浮かぶ

夢の中であたしのことを見てたから、きっとあの人、あたしのこと好き

ゾウの檻を指差し小学生が言う 「あいつら同棲しているんだぜ」

ビー玉がころころころころころころころころころころころころしてしまった

世渡りの上手な可愛いぶりっこを妬む不細工を安吾が処刑す

カルピスのムヤムヤしたとこが残ってる 童貞の色 売春婦の味

解剖が成功した気でいる医者の目を目掛け飛ぶイヌの心臓

いいこには一生なれない (私よりワカメちゃんカット似合う子爆ぜろ)

道端で枯れてるミミズ踏み潰した あのときだけ生きてる気がしたよ

彗星のようにしゅるしゅるしてたからあの女をもう許しておけない

二百五十八円俺に投げつけたおまえのことはすべて知ってる

ワンピース、モカシン、パールのネックレス、どうして私はできあがらないの

可愛らしい声であなたが「精子」なんて言う生物の授業が好きだ

誰の声を耳に差し込み眠るのか 給油中のロボットのよに

保健室の窓の外から降ってくる友の声は輝いていて

粘膜のやらかいところが泣いてるの あなたが泣かせてくれたら、どんなに

マーカーの引かれたエス・イー・エックスの意味は「性別」ただそれだけです

唾を飲むタイミングさえも見誤る好きになるってそういうことね

爪に色塗っただけで幸せになれるような生き物でよかった

いきもののにおいがしない街にいて働く場所すら墓場に似ている

唇に血を塗りたくったオバサマはミンクの死骸を羽織って笑う

ダニの死のにおいだなんて言われたらお天道様の目にも雨降り

「これ貸すね」 次会うための口実の僕の欲だらけのニルヴァーナ

不細工とからかわれているキーホルダーをいけにえに始まるお喋り

こっそりと置き去りにすればよかったのですか、またここに来る口実に

固そうなあなたの指が優しげに熟れたイチゴを摘んでいたとは

性欲の強い生き物と知っていればアリスも追いかけるのをやめたのに

「真実」という字のくせにまみちゃんは素直じゃないね (きみがすきだよ)

むつかしい書類がひとりじゃ書けないの だから横に居て ずっとここに居て

ぺろぺろとあなたが舐める切手さえうらやましがる私、ばかかも

「あれもきらい」「これもきらい」と駄々こねて世界を汚している ばかものよ

居るだけでうれしくさせるものになりたい お布団だとか肉球だとか

おはじきのように小さな幸福を優しく詰めて泣きたくなるまで

白い波の中で溺れるミルク色の君を抱いた夢を見た朝

不幸というテーマを掲げる小説が売れてるうちは平和な証拠

15センチの定規をいくつつなげればあなたに届く道ができるの?

カルピスを水道水で割るときのような目つきで愛してほしい

いなくてもいても束縛するのならあなたは私の横にいなさい

指切りをしたならいっそ最後まで責任とってよ 結婚しようよ

ままごととほんとの区別がつけられないそんないじらしい恋はくたばれ

「もう寝るね」あなたが言ったそれだけで世界はすべて死んだ気がする

花ちゃんが好きと言ったから好きになる 私なんてそんなものです

本当のことを隠さず告げるのは優しくなりたい自分の勝手

いつだって何かを捨てては何か得てあなたもきっといつかさよなら

すきなとこばかりじゃやっぱりつらいからすこしはあなたの愚痴を言わせて

あまいにおいさせて僕に近付いてでも話すことは僕のことじゃない

わたしの髪ぬけたらとてもけがらわしい うさぎの毛皮はうつくしいのに

いったってきたってどうせおなじなの きもちいいからことばは二の次

憂鬱とキスできるほど馬鹿になれ 不感症なわたしに捧ぐ

君となら何もなくてもそばにいたい よくある台詞が今日は美しい

いつもそう心にもない言葉言う あなたは実につまらない人だ

見返りを求めて繋がる仲だから私は何も返したくない

傷つけて傷つけられるだけならばやめてしまえよ君のファシズム

節操がないと言われてもかまわない いつでも誰かに愛されていたい

むなしさを吐き出すだけの白ならば君のゆめなどもったいないなあ

「優しいね」そう言い君は笑うけど優しくないです、下心です

女子高生 そのブランドを捨てる日が待ち遠しくも寂しくもあり

髪を染め耳に穴開け煙ふかす 餓鬼の頃に帰った夜だ

妄想の中で君を殺したらすっきりしたので仲直りします

偉そうな言葉を吐いたその口はやかましいから縫ってしまえよ

少しだけ斜め上を行くようないやらしいのが君には似合う

もうあなた嫌いなの とそっぽ向く乙女心に文句はつけるな

ばかなふりむじゃきなふりはおとこのため 女はいつも考えている

同じ色いやだいやだと言いつつも最終的には右ならえする

明日には何かが変わる気がすると言った昨日がまた今日である

「荒削り」誰かはそう言い笑うけど、「ダイナミック」とあなたは微笑む

日本人はノーと言えないと聞いたのに 僕の告白 君は断る

川渡る それと引き換えにやってくる いつも少しだけ遅れるオマージュ

革命を起こさないまま眠ってる そろそろシーツを洗おうかしら

ひとりきり 寂しいことを隠したくて携帯開く ホームの端っこ

嫌なとこひとつ見つけては人を嫌うあなたはずいぶん滑稽ですね

幸せの数を数えて歩きたい悲しいことは見ないふりして

つたえたいことは山ほどあるけれどどれを言ったらあなたは笑うの