(シャルルカンとヤムライハ)



私はひどく卑怯な女だと思う。女であることを理由に、魔法使いであることを理由に、あらゆることを理由にして、自分から行動することから逃げている。怖いわけではなかった。ただ、プライドというゴミみたいなものが私の足元に散らばっていて、うまく前に進めないでいるだけなのだ。

このブス、と言われたから、何よ能無し、と反論した。反論しながら、傷つく。女々しい。こんなにも狡いのに、何かを言われたらすぐに傷つく自分が大嫌いだった。女扱いされたいわけじゃない。逆に、ほかの女には優しいあいつが私にだけは暴言を吐くことは、私は特別なんだろうかと自惚れる材料になる程度には嬉しかった。それでも吐かれた言葉は心を貫く。傷ついた顔をしてはならないのがつらく、つらいと思うことが情けなかった。

言ってしまえばいい。伝える言葉はたった二文字であるのに、いつも立ち止まる。それを言えば得られるものは多いだろうし、もしブスだのなんだのと罵られても、その言葉があるだけでずいぶんと心持ちは違う。私は知っていたのだ、私がその言葉を言えば、あいつも同じ言葉を返すことを。だから余計に待ってしまう。

「あんたって、ほんと意気地無しよね」

「あ?!何がだよ魔法馬鹿!」

犬のようにぎゃんぎゃん吠えるあいつを見た。私は、卑怯。きっとあいつは私が知っていることを知らない。私より何倍も純粋で優しいから。だからこそあんたから言ってよ。私が言ってもあんたは信じないでしょう。私は信じてあげる。すぐに抱きしめてあげる。だから、

(……ああもう、はやく)





その言葉を口にして!
(バカなのはわたしも)



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シャルヤムかわいすぎて
ちょっとマイナスなとこ(ヤムが怖がってるとか)も書こうかと思ったんですが、なんかこの二人はほわほわさせたくてやめました。ていうかこのふたりはもう大人なのでヤムライハはそういうのに怖がる時期ではないかな、と。弱い大人もかわいいですが。ヤムはシャルルカンが自分を好きなことも知ってるんですが、男から告白してよ!って思ってる。シャルルカンはヤムが好きだけど告白するチャンスを見失ってる。とかね!たまらんね!



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