(ディーノと雲雀)
「……何なの、この状況」
「え?」
なにが、え?、だ、と金髪のイタリア人を睨みつける。柔らかく捩じ伏せられた体はすこし乱暴にすれば振りほどけるのに、なぜかそれができなかった。机に押し付けられた背中が痛む。舌打ちをすると、またへらりと笑う。
「いや、やっぱり初キスは学校だなーと思って。学生の特権だろ?」
「別に僕はそういう目的で学生でいるわけじゃないよ」
「ははっ、風紀委員長が一番学校の風紀を乱すようなことしていいのか?」
「乱してるのはあなただけどね」
「抗わないのはおまえだ」
「いつでも噛み殺してあげるよ」
「かわいくねーの」
迫って来る顔から体をよじって逃げる。それでもしつこく追って来るので睨みつけるが、案の定意地の悪い笑みを浮かべるだけだった。
「恭弥は俺のこと嫌いか?」
「嫌い。だいっきらい」
「ひでーな……」
「本当のことを言ったまでだよ」
「それでも逃げないんだな」
「……あなたって人を苛立たせる天才だと思うよ」
「褒められてる?」
「そんなわけないでしょ」
「なあ恭弥、キスしたい」
何を真面目な顔で。たかが中学生にこんな真剣になる二十代がいまだかつていたのだろうか。それも男が男にキスしたいだなんて。馬鹿げてる。
その気になれば犯すことだって容易いはずなのにそれをしない。僕だって逃げようとしない。それがすでに滑稽だ。結局僕らはおたがいのプライドぎりぎりのところで戦っている。どちらかが踏み出せば一気に喰われることを知っているから。すべてをさらけ出したような顔をしながら、その実、何もこちらに見せない。そういうところが、この大人の狡いところだ。
「……恭弥?」
「いいよ、キス」
「えっ、まじ?!」
「そのかわり」
手を伸ばし、彼の白い頬に爪を立てる。がり。ほんのすこし彼の綺麗に整った顔が歪んで、血が流れた。
「君のそのくだらないプライド、全部崩してよね」
「……っとに、かわいくねーの」
大人であることにプライドを持つな。僕の横にいたいと口では言うくせに結局自分が上にいたいんだろ。そういうところが嫌いだよ。
(僕のプライドなんか平気で飛び越えて来るくせに)
自分ばかりが幼いようで情けない。
ストロベリーセレモニー
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お題は Lalgo 様からいただきました。
なんか書きたくなりました。ちなみにタイトルの意味はストロベリー→イチゴ→甘酸っぱい→初恋→初ちゅー。みたいな感じですそういう儀式みたいな…ね…だから補足やめたい。ディノヒバはわたしの萌えの原点ですので…はあたまらんね…まじたまらんね…はあ
ツン受けがたまらんのでおがふるはほんとに異端です。古市ツンのかけらもねーよ。ディノヒバってまじ聖域だYONE!金髪×黒髪とかね!年の差とか体格差とか言い出したらキリないけどまじディノヒバは好きです。