(男鹿と古市・それとなく注意)
「う、は、、あ」
「っ、ふる、いち」
組み敷いた古市の顔が歪んで、白い肌に汗が浮かんだ。じっと見つめていると薄目を開けて微笑む。辛そうな顔をしながら。
「っふ、へへ、なに、変なかお、」
「……ふるいち、」
「おが、はやく」
足を絡めて先を促す古市。表情と行動が合ってねえよ、くそが。「あ、」漏れる声を無視して腰を進める。ずくり。また心がひとつ減った気がした。
重くのしかかるのは責任感でもなんでもなく、ただの罪悪感だ。古市をこんなふうにしてしまった自分への罰。古市に一生添って生きるのが俺に唯一残された道。それを望んでいたはずなのに、いざそうなると恐怖で足がすくんだ。ひとの人生に自分が関わるということがこれほどまでに恐ろしいとは。
「んっ、は、っ……お、があっ」
「舌噛むぞ」
「おが、すき、すきだっ……だからっ、どこにも、行かないで、ねっ……」
行くわけない。行けるはずがない。おまえを俺無しで生きていけないようにしたのは俺なのに。その古市を放って行けるはずがない。
頼ってほしかった。俺を信じてほしかった。だから、一種の催眠のように、俺に依存するよう仕向けた。ただのジョークのつもりだった。なのにこいつは、俺の思っていた以上に脆く、思っていた以上に危なっかしいやつだった。
それを知って、どうして無心でいれよう。愛する以外、どうする道があった。
「ふ、ふふ」
「っ古市?なに、笑ってやがる」
「おが、おれ、ね」
耳元でそっと古市が呟いた。こいつの幸せだけを願っていたのに、いつからこうなってしまった。それを間違いだとどうしてだれも咎めてくれなかった。傲慢だったのだ、そもそも、俺が他人の幸せを願うことなど。それでも願わずにはいれないのだ。なぜなら俺は古市を愛していたから。
うまく呼吸ができなくたって傷つけることを怖れていたってわたしたちはただ願おう、星は流れないけれど
(さいしょからおまえのこと、あいしていたんだよ、ねえ)
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お題は 花洩 様からいただきました。
男鹿さん目線て書くの難しいです。だって何考えてんのかわかんないんだもんよー
一応補足:男鹿さんは古市が好きなんだけど古市がそういうそぶり見せないのにもやもやしてちょっとからかうつもりでいろいろ古市にちょっかい出して、自分に依存させるよう仕向けたんですね。そしたら思いのほかそれがうまくいって古市はもう男鹿さんがいなきゃ生きていけない!ってぐらいになっちゃって、セックスまでしちゃうようになって、男鹿さんはそれが古市に申し訳なくて捨てられない、という。しかし古市はそんなことしなくっても元から男鹿さんのこと大好きだったんだよーという。なんとも酷い男ですな、男鹿さん。
てか毎度補足いるお話書くわたしもどうなんだ。すみません