(男鹿と古市・なんだか注意)
男鹿が新しいゲームが欲しいと言いましたので、おれはその辺にいる少年を殴ってお金を頂いて新しいゲームを買ってあげました。
「おっ!これ、この前俺が欲しいって言ってたやつじゃねーか!」
「なんか、商店街で当たってさー、おれいらねーからやるよ」
「商店街?そんなのやってたか?」
「やってたよ。ほら、いいからありがたく遊べ」
「ん、おお、サンキューな、古市!」
そうやって笑うから、おれはまた男鹿のことを好きになる。わかってやってるんじゃないかと思うけど、男鹿はだいぶ頭が弱いのでそんなことはなさそうだ。もちろんおれの想いにも気づいていない。
おれは男鹿が好きだ。大好きだ。愛してる。男鹿が望むもの、願うもの、すべて与えてあげたくなる。だから、与えてあげる。そのためなら何をしてもいい。なんだってできる。いつどんなときでも男鹿のことを一番に考えていようと決めた日から、おれはそれを守ってきた。
「なあ男鹿、なんか欲しいもんないか?」
「んー?いまか?特にねえなあ」
「いまじゃなくても。過去とか、未来とか」
「過去ぉ?それ言ってどうすんだよ」
「叶えられるかもしれないじゃん」
「はあ?」
なんとなくだけど、いまのおれはなんでも出来る気がしていた。どんな苦難でも片足でひょいと乗り越えられるような気が。男鹿は眉を一瞬潜めて、そうだなあ、とぼそりと言った。
「おまえが一生一緒にいるなら、それでいいよ」
「……何言ってんだ?おれは一生一緒だぞ?」
「……そーだな」
なぜか男鹿は切なげに笑う。そんな顔、初めて見た。なんでそんな顔するのかわからなかった。
そんなある日。
「古市っ!」
「ん、男鹿?どした?」
「どしたじゃねーよ!なんだその怪我!」
「あー、これ?動きにくくってしょーがねーんだよな」
ギプスのはまった右腕を持ち上げると男鹿が顔色を変えたのでやめた。何をそんなに焦っているんだろう。
「その怪我、どうしたんだよ」
「転んだ」
「嘘吐けっ!」
「嘘じゃない」
本当だ。ただ、そのあとちょっと他の奴らに殴られたり蹴られたりしただけで。倍にして返したけど、多人数に一人はさすがに無謀だった。
「……おまえ、もっと自分のこと大事にしろ」
「なに怒ってんだ?」
「怒ってねえ」
「なに怒ってんだ?」
「怒ってねえ!」
「なに怒ってんだ?」
「……なあ、古市頼むから、」
ぎゅう、と抱き寄せられる。頬の傷がぴりりと痛んだ。男鹿は泣いていた。
「もう無茶すんな」
「……なんで泣いてんの?」
「泣いてねえ」
「……おが」
「なんだよ」
「くるしい」
「俺もだ」
ぽろり、とおれの目から水が零れた。なんで、泣いてるんだ。悲しくないのに。
「おまえ、俺に聞いたよな?欲しいもんないか、って」
「うん」
「あれ、あるわ。一個だけ。たったひとつだけ」
「……なに?」
「おまえが欲しい」
体が少し離れる。腕が腰に回った。
「そんで、一生一緒にいろ。いままでみたいにひとりでなんでもするんじゃなくて、隣にいろ。ずっとずっと」
「おが」
「おれのもんになれ、古市」
そのまま口づけると、涙のしょっぱい味がした。
永遠なる
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リハビリ。
相変わらず意味がわからない(↑∇↑)