(男鹿と古市・死ネタではありませんが死のワードが多数出てきますので苦手な方はご注意)



死んだあとのことを考えるなんて愚かだ。と、思っていた。自分が死んだあとにはなにも残らなくて、ゼロになって、だから考えたって無駄だと。そう思っていた。天国も地獄も在りはしない。輪廻転生も夢物語。死んだら死んだ、それで終わり。おれが死んだあとの世界もいままでと何ら変わりなく動いていて、だってそうだろう、いままで幾億ものひとが命を落としてきたけど、この世界が動きを止めたことなんて一度もなかったじゃないか。死んでも何も変わらない、だからおれは自ら死ぬなんて考えない。馬鹿げているとさえ思う。でも、でも、生きていても何も変わらないなら、おれはどうすればいい。どうして生きている、なんてガキみたいな問い掛けはしないけど、それはおれの根底にある長年の謎で、答えを知っているひとはいないとどこかでわかっていて。

「っ、」

生きていても死んでいても変わらないなら、いまのおれはどうすればいい。どうすれば世界は変わるんだ。何がおれを動かしているんだ。どうしておれは、ここで息をしているんだ。

「お、が」

変わらない変わらない何も。おれの世界はおれが何をしても一向に変わらない。相変わらずおれの腕は貧弱だし髪は白いしモテないし男鹿に振り回されつづけるし。変わらないんだ、何も。おれではおれの世界を回せない。

の、に、

「っ男鹿!」

おれの世界はこんな奴の一挙一動で簡単に回る。

傷だらけで玄関になだれ込んできた男鹿を抱き留める。また喧嘩かよ。そう毒づくつもりが口から出るのははくはくとした吐息だけで。

「お、おが、目、覚ませって、ばか、」

心臓は確かに動いてるのに目を開かないが怖かった。生きているとわかっているのに死んでいるのかと思った。生きてるじゃん、ちゃんと。さっきからうめき声漏らしてるし。また派手に喧嘩したなって言えば良いだけ、なのに。

「、しな、しなないで」

生きていても死んでいても変わらないなら、一生変わらないままでいい。おれの世界はこのままでいい。おれのこの世界は男鹿が、あの馬鹿が、勝手に回すんだ。





世界は廻る



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よく、自分の世界を変えられるのは自分だけ、って言いますが、個人的にはそうではないかなーと思っています。もちろん、自分で変えられるにこしたことはないと思いますが、誰かに影響を受けて変わることも少なくないと思うんです。自分がそうなので。それも別に悪いことではないかなあ、と。
おがふるは依存度で言えば古市の方が依存してそうです。重度に。自分のことはわりとどうでも良さそう。男鹿は古市を大事にしたいんですが、古市にはその自覚(男鹿に大切にされてるということ)が薄いので、逆に男鹿を傷つけてたりしそうです。男鹿さんは男前なのでへこたれませんが!



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