(このまま溺れてしまえた、ら)


ぱしゃりと水が跳ねて飛沫が飛んだ。正直、石矢魔なんかで水泳の授業なんかしても意味ないと思う。現にいまプールに入っているのは男鹿、とベル坊だけだ。正確には、男鹿がベル坊をプールで遊ばせてやってる感じ。教師もいないしいいと思うけど。

俺はというとズボンをまくって足だけプールに浸けている。遠くで遊んでる男鹿とベル坊を見ながら、なんとなく、ぼんやりと足を上下させる。


このまま溺れてしまえたら。俺はいつもそう思う。別に死にたいわけじゃないけど、忘れたいことはたくさんある。負い目を感じていることはたくさんある。それらから一瞬でも逃げたいのだ。狡いのは承知の上で。

溺れて、溺れて、もうあいつが目に入らないところまで落ちるんだ。そうして海の底で眠る。もしそうできたらどれほどいいだろうか。

でもきっとあいつは俺を見つけるんだろうな。自惚れなんかじゃない。だってあいつはいつだって、俺を見つけてくれた。


「あだーっ!」

ベル坊の声とともに水が盛大にかかる。うわ、どうすんの、俺着替え持ってきてねーし。

「ベル坊よくやった!おい古市、ついでだしおまえも」

ばかやろう。おまえなんか嫌いだ。俺に優しくすんな俺に構うな。いらない期待をさせるな。

「、古市?なんで泣いてんだよ」

身体に男鹿の温もりを感じた。だからおまえはばかなんだ。俺の気持ちも知らないで。



(とっくの昔に溺れてる、)









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古市が溺れてるのは男鹿っていう話

でも古市は男鹿との関係を壊したくないから言えない、まあ結局男鹿も古市が好きなんだけどな!はやくくっつけ!

公式夫婦な二人もいいけどくっついてない二人もいいなという話でした
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