「、おい、明日葉」
「ん?どうしたの?」
「俺はここにいるか?」
「うん、いるよ。藤くんはここにいる」
「明日葉、」
「なあに、藤くん」
「俺はこわいよ、おまえが」
「どうして?」
「俺がすべて正しい、みたいな言い方をする、から」
「だって藤くんはいつだって正しいもの」
「じゃあ、明日葉」
「なあに」
「俺がおまえを殺したいって言っても、おまえは頷くのか?」
黙って笑顔を向けるとたちまち藤くんの顔が歪んで、歪んで、大粒の涙を零した。僕はそんな藤くんを優しく抱きしめてあげる。ああ、なんて出来た人間なんだろう!(僕は!)