※中学時代




変わらないでいてくれることが嬉しくて思わず笑うとあいつも笑って、だから俺も負けじと笑おうとしたらこぼれたのは涙だった。あれ?

「……」

「あ、うそ、はは、ごめんいずみおれなんか、へへ恥ずかし、」

「……浜田先輩」

「ん、ごめん、な、おれ、」

「謝んなよ、ばかはまだ」

男前な後輩はそれだけ言って俺の手を握った。俺はまた泣けてきて、恥ずかしいからいくらか背の低い後輩の肩口に顔を埋めて、そしたら泉のにおいがして、また泣けて、悪循環を繰り返して泣いた。

「ひ、っぐ、いず、み」

「……」

「おれ、なさけない、なあ、へへ、っ、う、」

「……ほんと、下らないっすよ」

「手厳しいな、いずみ、は」

「下手な優しさなんていらないくせに」

「っ、うそ、おまえは、やさしいよ、」

「……そ、すか」

変わらないにおい、変わらない態度、変わったのは間違いなく俺だけで、それが悲しくて寂しくて泣いた。泣くようなキャラでもないというのに俺は大柄な身体を小さくして泣いた。それでもいつまでも握られている右手があたたかくて、俺は泉に支えられていたのだと知った。

慰めもせずにただそこにいてくれることがなによりうれしくて、それがわかっているから口をつぐんでくれる泉が愛しかった。本当はいろいろ言いたいくせに、俺がそれを望んでいないことを知っているからなにも言わない泉が、優しくて、泣いた。


いまだけは、泣かせてほしい、かな。






僕がヒーローじゃなくなった日
(おまえのまえではヒーローでいたかったんだよ、本当だよ)











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=浜田が野球を捨てた日。

なんかイズハマみたいですがハマイズですあしからず。この二人の距離感が好きです。はまいずはなんかちょいちょいブームがくるなあ…!
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