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die Angsthasen 1027


 ――何を願って、何をして生きたのだろう。


 私であって私ではない彼は。そもそも私は本当に彼なのか。

 少なくともまともに生きてはこなかったんだろう。彼には、それなりに高額な賞金が付いていたらしい。自警団員達の間での評判も、かなり悪いようで。

 それ以上、私には何も知りようがないが……私を捕まえた自警団員らしい黒竜は、“私”の事を知っているようだったから、気になった。





 胸が、頭が、酷く痛んだ。得体の知れない罪悪感に、悪魔の私にある筈のない心が押し潰される。

 そんな、気がした。





 だが同時に悪魔の本能が全て壊してしまえと私に囁く。壊せば早く終わる、この檻すら壊して外へ出てしまえば良い、と。





 探しているモノはここにあるのだから奪ってしまえば良い、と。





 本気で出たいと願えば外から壊しに来る者もあるだろうこの枷と檻、奪ってしまえば終わる失せ物探し。





 それでもここから出たいと願わないのは私が臆病だからか、それとも――……。












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die Angsthasen 臆病者 (ドイツ語)

お題提供:7-1
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