※変換ありません。 「あーあ、折角天気が良いからこうして出かけているのに」 そう、とっても良い天気なのだ。チラリと斜め上を見上げて右隣を見てみるけど、無反応。 たまの休日。ヒーローの彼氏をもつと一緒にお出かけデートだってまともに出来ないから、こういう日は凄く貴重なのに。隣の彼氏は彼女がこんなに大きな独り言を言っているのに、無視ですか。 「寂しいなー。右手が独りぼっちで寂しいなー」 ぶーらぶら。ぶーらぶら。大袈裟に手を大きく振って独りぼっちの右手をバーナビーの前にチラつかせる。ほら、何をしているのバーナビー・ブルックスJr.君。隣で歩いている女の子の手が寂しがってますよー。こんな状態、男として放っておいて良いんですか?もう一度、大きな独り言を呟いて私が手を振ると、バーナビーは小さく何かを言って、独りぼっちだった右手を捕まえた。 「あらあら?どうしたの、急に」 「寂しいんでしょ、右手」 「でも、手をつないで。なんて言ってないよ?」 「……」 あらあら?恥ずかしがっているかと思ったら、今度は眉間に皺寄せて仏頂面ですか。本当にこう言った時の冗談が通じないんだよね、バーナビーは(まぁ、そこが可愛いところだけど)。バーナビーが放そうとした手を今度は掴んでそうはさせなかった。少し驚いたような顔をしたバーナビーだけど、すぐにさっきの仏頂面に逆戻りで、怖い顔をして私を睨みつけた。 「手、つながなくて良いんでしょ?」 「そうなんだけどね。まぁ、折角だし。このまま帰ろうよ」 首を少し傾げて、「ね?」って言うと、バーナビーは渋々って顔して私の独りぼっちだった右手を掴み直してくれた。恥ずかしいのか、全くこっちを見て歩いてくれないバーナビーがなんとも面白くて、クスクス笑っていると「何笑っているんですか」と一言。 (さぁ、お手をどうぞ) |