青春謳歌! | ナノ


05




「スカイハイさん」
「ん?どうしたんだい、折紙君」
「この間、スカイハイさんのアドバイスのおかげで彼女に会うことが出来ました」
「それは良かった!そして良かった!」

トレーニングルームで今日もトレーニング中のスカイハイさんに、先日のお礼をした。そして、例の如くその話を聞きつけた皆がこちらへと集まってきた。少し違う人もいたけど、みんな僕の相談に乗ってくれたし、むげにも出来ない。

「良かったじゃない、折紙」
「はい、これもスカイハイさんのお陰です」
「いや、あれは私じゃなくて妹が言ったことなんだ」
「妹?」

僕以外にも、スカイハイさんに妹さんがいたのを聞いたのは初めての人が多かった。なんでも、大学生になる妹さんがいて、今一緒に暮らしているらしい。皆、僕の話よりもそっちが気になった様で、会話の中心が僕からスカイハイさんに移っていった。

「?、もしもし」
『あ、イワン君?今電話平気だった?』

突然電話が鳴って出てみたら、クロエからだった。ハッ、と横目で皆の方を向くと、誰もこっちに気づいている様子はなかった。「少し待って」とクロエに伝えて、僕は一度トレーニングルームを出て静かな所へ移動した。

「ごめん、どうしたの?」
『うん、あのね。今日これから時間あいているかなって思って』
「これから?大丈夫だよ」
『良かった。じゃあ、この前の公園で待ち合わせで良い?』

電話を切ると、僕は急いでトレーニングルームへ戻った。既にスカイハイさんの妹さんの話は終わっていたみたいで、皆トレーニングを再開していた。僕が荷物を持って支度を済ますと皆は僕の様子に気づいたみたいで、「もう帰るのか?」ってタイガーさんが声をかけてきた。

「急用が入ったんで」
「それって、例の彼女!?」
「え!?あ、…はい」

ブルーローズさんが小さく悲鳴を上げていた。皆で僕に「頑張れよ」とか「緊張し過ぎないように」って声をかけてくれて、本当はちゃんと返事とかお礼とか言いたいんだけど、クロエが待っているから僕は簡単に返事だけして、トレーニングルームを出て行った。



☆★☆★



「突然ごめんね」

公園に着くと、既にクロエがいた。待たせてしまったかと思ったらクロエが先に「私も今来たところなの」って言ってくれた。

「それで、どこかへ行くの?」
「ちょっとイワン君にある所に付き合って欲しいの」

場所を聞こうと思ったら、クロエが先に歩き出した。クロエは大学生で、大学の帰りだったのか少し大きめの鞄を持っていた。大学生?そう言えば、さっきそんなフレーズを聞いた様な…

「でも良かった!イワン君じゃなきゃどうしても駄目だったから」
「え…?」

「それってどういう意味?」って聞き返そうかと思ったけど、言葉が喉の奥でつっかえて出てこなかった。確実に高なった心臓音。クロエは相変わらず楽しそうに歩いていて、自分が言った言葉の意味を全く意識していない様子だった。



 
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