企画 | ナノ


しんしんと降り続く雪が、窓の外から見えた。マフラーとコートが必須だろうと思われる外とは違い、私が今寛ぐこの部屋は、暖房が完備され、外とは別世界の様に快適だった。
テーブルにはホットココア。ソファに座り、私は二日前に買った小説を呼んでいた。折角の休日だし、外へ出かけるのも一つかもしれないけど、買った小説を早く読み終わりたくて、今日はのんびりとここで過ごすことに決定したのは、何時間も前のこと。

「ぅわ!ビックリした…」
「そのつもりでやったので、成功したってことですね」

急に後ろから抱き締められて、身体が跳ね上がった。でも、その犯人がこの部屋の主だと判ると一気にその驚きも治まった。私が読書と決め込んだのと同じ頃、この部屋の主、基私の恋人バーナビーが仕事だと言うことで出かけた筈なのに、彼は戻って来た。昨夜、今日の予定を聞いた時は帰りは夜だと言ってたのに、外はまだ明るい。

「仕事は?」
「夜の分はキャンセルしました」
「え?それってマズいんじゃ…」

KOHになってからのバーナビーはとにかく忙しそうだった。同棲してても、お互い社会人で一緒にいる時間は少ない。私が休みの日でも、彼は仕事。そんなのが殆ど。

「残りは大したものではなかったので。それに、折角名前が休みだって言うのに、仕事なんて行っていられませんよ」
「なにそれ?原因は私ってこと?」

手に持っていた本をテーブルに置いて、私の身体に回したままのバーナビーの腕に手を置いた。

どっちかが仕事で、もう一人が休みなんてことよくある。でも、バーナビーはちゃんと自分の仕事をこなしているし、私が仕事の時も、もちろん。けど、たまにこんな日が来る。不定期だけど、バーナビーがこうやって全部とまではいかないけど、色んなものを丸投げして、私の所へやって来る。

「いけませんか?」
「そりゃあ、…」
「………」
「冗談、ごめん」

一社会人として言うなら、バーナビーの行動は良くないんだろうけど、私は社会人としての考えより、恋人としての気持ちが優先される。だから、彼が折角こうして私を求めてくれているのなら、私は最大限の力で受け止め、最大限の想いで彼に応える。

「コーヒー、飲む?」
「有り難うございます。でも、今はもう少しだけ、こうさせて下さい」

そう言ってさっきより少しだけ強い力で私を抱きしめて、首元に顔を埋めるバーナビーに私は小さく返事をした。耳元を掠める彼の癖のある髪がくすぐったい。
抱きしめれられたままの私は、身動きが取れないから暫くの間は、彼の気の済むまでじっとしていた。

テーブルに置かれたホットココアは、ぬるくなってしまっているようだった。





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