遠距離(恋)愛


ふとした瞬間、思い出す。

「…元気にしてるかな」
「誰が?」
「…ヒミツ」
「元カレとか?」
「そんなのが私にいると思ってんの?」
「そうだな。いるわけない」
「…でも好きな人はいたよ。多分」
「…マジで!?」
「退屈しないひとだった。なんかね、側にいると世界に色がついたみたいになって、一緒にいる空間は隅っこまでキラキラ輝いて見えるの。楽しかったなぁ」
「…付き合ってはなかったの?」
「あれはお互い付き合ってるって感じじゃなかったと思う。たまたま、一緒にいる時間が長かっただけで…」
「たまたまって…? んでその彼が元気してっかなぁってか?」
「うんそうだね。今では連絡も取らないし、何やってんだかも知らない。知らせがないって事はいい事だと信じて、私は彼のしあわせを祈り続けるよ」
「なんて名前なの? 探してあげようか」
「いいよ。今彼はしあわせなのかもしれないし、それはそれで私は嬉しいし。そこに水を差すような真似はしたくないし」
「…そうじゃないかもしれないぞ?」
「それならなおさら、そうじゃない状態なのに私に連絡が来ないってことは、そんな状態でも私は彼に必要とされてはいないってことだし、だからいいの。ほらね、知らせが無いのが良い知らせ、でしょ?」
「それでいいのか?」
「彼がしあわせであれば、私はそれでいいの」


ふとした瞬間、想い出す。
幸せであれと。

- - -
恋(をすっとばした)愛。

150118
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