チラ裏めも


「…自由のない身体に感謝したのは生まれてこの方初めてだ。お前もそう思うだろう、フィオ」
「貴様… 何故貴様が動ける? お前の意識はとうに失くしてやったはずだ…!」
「…成程。お前の言う通り、私は一度、お前の手によって"居なくなった"。だが、私はここに"居る"。どうしてなのかが分かるか? お前だ。再びお前の手によって、私は生かされたのだ」
「ふは、ははは… 過失、だと? 私が? この私が? そんなはずはない。断じて。有り得ない。いいだろう。ふふ、今すぐデリートしてやる。完全に消し去ってやる」
「それでいいのか?」
「死にぞこないが。今更また、消えるのが怖いのか?」
「お前はただ、泣きたいだけだ」
「……………は?」
「お前は独りなのかどうか。お前は、それすらも分かっていない。…お前は今、私と二人だ。ここには他の誰もいない。この世界にこの二人しか、いない」
「立場が分かっていないようだなぁ。お前は私のお人形さん。かわいくないから捨てられる、かわいそうなおにんぎょさんなんだよ? はらわた引きずり出されて無様に打ち捨てられたいの?」
「…喋り疲れた。お前の吠える様を歌に…私はまた眠ることにしよう」
「っは、散々のたまった挙句自分勝手に消えやがるとは流石だな。最強、とはよく言ったもんだ」
「…忘れるな。お前は一人なのではない。振り返ってばかりでは前に進めない。前に進むためには、前を見なければならない。だが、それだけでは…足りないのだ… お前は、……………」
「…… 消えた。っくく、出番が終わった役者はさっさとはけてもらわないと。私の舞台を汚すなってな」

「じゃ、ようやく、ぼくの、出番?」
「………は?」

- - -
忘れないうちめも
141222
*次へ | back | 前へ#

◆top


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -