[SD]仙道さんとトリップ少女1


「ん?」
「ん…」
「…だいじょーぶ?」
「……、ん…だい、じょうぶ、です。たぶん」
「救急車、呼ぼうか?」
「いや…だいじょうぶ、です。たぶん」
「たぶん」
「…大丈夫です」
「…そっか。大丈夫か。じゃあ俺、ここで釣りしてもいい?」
「あ、はい…」
「ありがと」
「……………せんどー、あきら」
「ん?」
「…いや、……」
「仙道彰は俺だけど、呼んだ?」
「……」
「今呼ばなかったっけ?」
「…呼んだ。呼び、ました」
「……」
「……」
「…俺、あんたのこと覚えてねーや。あんたって何て名前?」
「…フィオ」
「フィオ。ふぅん…やっぱ覚えてねーや」
「そりゃ、そうですよ…」
「…ん?」
「仙道、さん。私はあなたと違う世界からやってきたんですよ」
「……」
「…マジで」
「…面白い子だな。んで、その続きは?」
「続き?」
「違う世界から来て、どうしたって?」
「…さぁ。たった今来たばっかりなんで、私のこの世界での居場所が無くて、困ってる所なんですよ」
「困ってて、なんでこんな波止場に行き倒れてたの?」
「…確か、さっきまで自分の家でおいしくないオムライスを食べてたんですよ。おなかがふくれて眠くなって、ちょっと横になろうと思ってたら、…今こうして仙道さんの釣りにご一緒させてもらってるって訳です」
「……」
「訳です、って… いやぁ、全く意味分かりませんよね。私も分かりませんから、どうにも上手く説明しようがないって言うか… 多分、これがいわゆるトリップってヤツなのかな、とか思ってるんですけど…」
「…フィオって、変な女の子だな」
「……」
「あ、別に馬鹿にしてる訳じゃないよ」
「いや、変なのは自覚してるんでいいんですが…」
「……」
「どうしましょうね…私、これから… って、仙道さんに言ってもしょうがないんでしょうけれど…」
「……」
「…お金、持ってたかな…」
「これ、ウチの生徒手帳じゃない?」
「え?」
「あんたのその鞄から落ちてきたけど」
「…生徒手帳… 神奈川…稜南、高校…!?」
「なんだ、ウチの生徒だったのか」
「わ、私の名前がある…ええええ…」
「いきなり落ち込んだな。どうかした?」
「…仙道さんちに、泊めてもらおうと思ってたのに…」
「え…?」
「家の住所が…私の家の住所が、書いてある…鍵も、入ってる…」
「……」
「でも、この住所が一体何処なのかが分からない…! 結局のところ、帰れない…!!」
「…ウチに泊まってもいーよ。マンションで一人暮らしだし、別に、」
「ここまで来たら仙道さんちに泊まったら負けな気がするんですよ! 大丈夫です!私は大丈夫! 交番行って住所尋ねてなにが何でも自分の家に辿り着いてみせますから!」
「…この住所、部屋番号、俺んちの隣の部屋じゃねぇかな」
「……へ?」
「たぶん」

- - -
「大物釣りあげて、今日のごはんにしましょうよ〜」
「フィオと喋りながらだと全然釣れねーんだけど、なんでだろうなー」
「…それは、私のせいなんですか…?」
「いや、いつもこんなもん」

- - -
スラムダンク…今更ながら初めて原作読んで、いいな〜って思って…
仙道さんってなんだろう、不思議。不思議な魅力がある。こういうタイプが気になったのは初めてで、仙道さんのことを掴みきれてないのに書き殴りやがって私このやろう。

141115
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